2018年 8月 19日 (日)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「仮想通貨」めぐる勘違い 土台のブロックチェーン技術はすばらしいが...

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   コインチェック社の580億円流出騒ぎで大きな話題になった。筆者もテレビなどで解説を求められるが、テレビ局スタッフや芸能人でも、「仮想通貨」に大きな資金を出していた人も少なくなく、意外と広範な人々が関わっているのに驚く。

   筆者が、「仮想通貨」の取引には関わっていないが、いわゆる「採掘」では古くからのファンである。ビットコインの原論文を読み、その構造の美しさに感動し、「採掘」プロジェクトに関わったこともある。その後、オタク系の集会に呼ばれて話をしたこともあり、4年前の2014年、2.5万人が2.6兆円の被害にあったマウントゴックス事件でも、債権者のための活動をしたことがある。

  • 「仮想通貨」巡る勘違い(画像はイメージ)
    「仮想通貨」巡る勘違い(画像はイメージ)

単に「投機」の場に

   「仮想通貨」の土台になっているブロックチェーン技術はすばらしい。ブロックチェーンをあえて例えれば、すべての人の手形の裏書きをシステム上で行っているようなもので、ブロックチェーン(分散型台帳)をみれば、資金トレースが理屈上はできるし、その事務コストは低く、他のサービス(例えば役所の各種台帳の記録・保持)に活用すれば、「仮想通貨」でなくても、十分に社会的な価値があるだろう。

   しかし、今の「仮想通貨」は、当初、その周囲にいた「オタク系」の熱い思いとは別に、単なる投機手段になりさがっている。

   最近、伝統的な先物市場での取引が激減して、その反面、FXと「仮想通貨」が賑わっている。FXも「仮想通貨」も単純なので、伝統的な先物より参入障壁が低い。その結果、ブロックチェーン技術は、そうした素人を呼び込むための道具になりさがって、単に「投機」の場になっている。そこでは、単純に「いくら儲かる」という話だけだ。

   そもそも「仮想通貨」というネーミングも適当ではない。資金決済法では、「通貨」ではなく「財産的価値」とされているが、単なる「電子データ」である。その「価値」もそれを信じる人で決まるものだ。

「取引所」では誤解を招く

   それと、マスコミでは、コインチェックは「取引所」と報道されるが、これもミスリーディングである。法的には、単に「交換業者」である。「取引所」とは、東京証券取引所のように、各種の売買注文が来て、それを突合する場であり、取引所は売買当事者にはならない。売買注文を大量に集めるために、日本では東京証券取引所に事実上一本化している。

   しかし、コインチェックは売買注文の相手方はコインチェックである。「取引所」と称するところは、資金決済法の登録業者で16、未登録の「みなし業者」16である。こうした交換方法による取引所運営は、価格の公正性が劣るとされる一方、取引所となる交換業者のもうけは大きくなる。

   こうした意味で、仮想通貨の「取引所」を、証券のような「取引所」と同じようにいうのは誤解を招くので、道理上の名称である「交換業者」というべきだろう。

   2018年2月現在の今の実情をはっきりいえば、「仮想データ」は社会として支払い手段として受け入れているところは少なく、あくまで「同好の士」の間で通用するものだ。取引も「交換業者」との相対取引で行われるので、あくまで自己責任で行うべきだ。

   その上、匿名的に取引が行えると勘違いしてはいけない。ブロックチェーン技術があるので、取引記録を税務当局が入手するのも容易なので、税務当局に目をつけられたら、租税回避は難しいことも留意しておかなければいけない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「朝鮮半島終焉の舞台裏」(扶桑社新書)など。


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