2024年 5月 4日 (土)

黒田・日銀総裁の前途多難 「続投」で本当に目標達成できるのか

緩和の副作用

   ただ、財務省の非主流派を歩んだ本田氏の手腕は未知数で、政府・与党内では本田氏の登用案に懐疑的な声が多かった。それを押し切って抜擢すれば、国会で安倍首相に対する森友・加計問題の追及が続く中、野党からさらなる「お友達人事」批判が噴出するのは目に見えていた。

   首相は結局、副総裁に本田氏と同じリフレ派の若田部氏を起用。「お友達人事」批判を封じるとともに、本田氏と同様に金融緩和に積極的な人材を据えることで、日銀に「大規模緩和を継続せよ」とのメッセージを送った形だ。足元では好調が続く世界経済だが、2019年ごろには景気後退局面に入る可能性が指摘されており、長期政権を見据える首相にとって、大規模緩和による景気下支えは欠かせないからだ。

   しかし、大規模緩和が長期化し、超低金利が続く中、金融機関の業績悪化など緩和の副作用も積み上がっている。金融緩和を正常化する「出口」へ一足先に向かう米国では、金利や株価が激しく動き、市場を安定させながら金融緩和を手じまいすることの難しさが浮き彫りになっている。日本も緩和が長期化すればするほど、出口戦略が困難になるのは間違いない。

   次の任期満了まで務めれば78歳になる黒田氏は、波乱含みの5年の任期を無事まっとうできるのか。黒田日銀の先行きはますます見通しにくくなっている。

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