2024年 4月 29日 (月)

被害女性、名乗り出るのは「そんなに苦痛?」 矢野官房長、セクハラ問題に反論

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   福田淳一・事務次官を辞任に追い込んだセクハラ疑惑をめぐり、財務省が被害者の女性記者に「直接連絡いただきたい」と呼びかけたことに批判が集まるのに対して、同省の矢野康治官房長は「(名乗り出るのが)そんなに苦痛なことなのか」と発言した。

   矢野氏は2018年4月18日の財務金融委員会で、「女性記者は名乗り出ない可能性が高い」との指摘に対し、理解できないと言わんばかりに主張した。

  • 柚木道義議員の声を手で遮り、答弁を続ける矢野康治官房長(衆議院インターネット審議中継から)
    柚木道義議員の声を手で遮り、答弁を続ける矢野康治官房長(衆議院インターネット審議中継から)
  • 柚木道義議員の声を手で遮り、答弁を続ける矢野康治官房長(衆議院インターネット審議中継から)

「弁護士さんに名乗り出て、名前を伏せて仰るということが...」

   週刊新潮が福田氏のセクハラ疑惑を報じると、財務省は同氏が「事実と異なる」と話したという聴取結果を16日に発表。同時に、一方当事者である福田氏への聴取だけでは解明が困難だとし、各社の女性記者に対して「(弁護士)事務所に直接連絡いただきたい」と、連絡先を示して協力を呼びかけた。

   この財務省の対応は、セクハラ被害者に「名乗り出てくれ」とお願いしたとして激しく非難を浴びている。NHKや共同通信などの18日の報道によれば、被害女性の二次被害の懸念などを理由に、同省記者クラブは「受け入れられず、財務省に抗議する」との文書を提出した。

   18日の財務金融委員会では、柚木道義衆院議員(希望の党)が「(記者)クラブは拒否すると、ほぼ全社が言っている。ということは名乗り出ない可能性が高い。名乗り出なかったら、被害女性はセクハラ認定されないんですか」と質問した。

   これに答弁したのが、福田氏の聴取もした矢野康治官房長。「セクハラは、した者とされた者とが出てきて事実認定がなされ、その程度や内容によって判断がなされ、それによって会社や役所の処分がなされ、場合によっては法廷で処分されるものです」と切り出し、徐々に語気が強めてこう言った。

「中身がわからないことには処分に至らないのが世の常ですよ。それをこの方(被害女性)は、この報道が事実であれば、雑誌の中で『こんなことをされた、こんなことをされてとても不快だった』と、カギ括弧つきで書いておられますよ。であれば、その方が財務省でなく、弁護士さんに名乗り出て、名前を伏せて仰るということが、そんなに苦痛なことなのか、という思いでありました」

「それ以上に我々は調査のしようがない」

   柚木氏がたまらず「委員長」と、質問のために声をあげたが、矢野氏は手で遮り、続けた。

「だけど、それ以上に我々は調査のしようがないと思っていますよ」

   柚木氏は声を荒らげた。

「被害者が加害者側に話しにくいのは当たり前で、私は民間企業のセクハラ対応をしている弁護士にも聞きましたけど、民間企業は被害者が名乗り出なくても(セクハラ)認定してますよ、ちゃんと。何言ってるんですか財務省は! 事務次官もセクハラとかハラスメントの防止の研修を受けているというじゃないですか。これ悪い冗談にもなりませんよ」

   そのうえで改めて、「名乗り出なければセクハラもみ消すということ。報道への圧力になっているということの認識はないのか」と質問すると、麻生太郎財務相が、

「週刊誌記事の女性記者がおられるわけでしょう。調査への協力をお願いさせていただかないと、この種の話は前に進まないのではないですか。常識的には、加害者と被害者がいて、被害者の話が出て来ない。『強制的に名乗り出ろ』というふうにおっしゃったけど、私どもは『匿名で構いません』ということで、内容や前後状況等々をお知らせいただきたいとお願いしている」

と答弁。匿名でいいから連絡を、と矢野氏と同様の姿勢を示した。

   柚木氏は「匿名だろうが何だろうが、財務省のお抱え弁護士、顧問弁護士に名乗り出られるわけがない。セクハラの相手は一生苦しんでいる。家族にも言えない。その中で、加害者側の顧問弁護士に言えるわけがないじゃないですか」と猛反論している。

   この財務金融委を終えた18日夕、麻生氏は、福田氏が事務次官の辞任の意向を表明したと発表。なお、次官代行の職に就くのは上記の矢野氏だ。

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