2024年 4月 28日 (日)

働き方改革めぐる「深い溝」 大手紙の論調が割れるテーマ

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「今国会での成立は難しい」との声も

   政府は、高プロの適用には本人の同意が必要で、適用者には年104日以上の休日を与えることを義務づけるなどの健康確保措置を設けると説明するが、深夜・休日労働をした場合は割増賃金が必要になる裁量労働制と比べ、高プロは労働時間と賃金の関係が完全に切り放されるため、野党や過労死遺族らは、より長時間労働を助長する「スーパー裁量労働制だ」と批判する。

   国会審議の見通しは、森友・加計問題もあって見通せない。首相が最重要法案と位置づけたのだから、成立できなければ首相の政策遂行能力に疑問符がつきかねず、周辺から「首相は是が非でも通す考えだ」との声が聞こえる。しかし、衆院本会議での法案の趣旨説明と質疑には首相出席が必要なため、審議入りは早くても17~20日の訪米から帰国後になる。成立には6月20日までの会期の延長が避けられないとの見方が与党内に浮上しているが、そうなれば森友・加計問題などで野党の追及が続くことを覚悟しなければならず、それを乗り越えて成立に漕ぎ着けるのは、並大抵ではなく、与党では「今国会での成立は難しい」との声も聞こえる。

   労使、与野党の見解が分かれ、対立が先鋭化するだけに、大手6紙のうち産経を除く5紙は法案閣議決定から一夜明けた4月7日朝刊で、一斉に社説で取り上げた。残業規制、同一労働同一賃金については、各紙、基本的に必要というのが共通認識だが、高プロを巡って、論は大きく割れた。

   危機感が行間ににじむのが、経済界の意向を反映して法案推進の立場の日経だ。「今国会で成立させよ」との見出しを掲げ、「今国会の審議日程は窮屈だが、確実な成立が求められる」と、きっぱり主張。法案の3本柱を「いずれも、日本の雇用と賃金をめぐる制度の節目の改革となる」と位置付ける。その主張のもとになるのは、「経済のソフト化・サービス化が進み、成果が労働時間に比例しない仕事は急増している。成果重視を前面に出した高度プロフェッショナル制度は時代の要請である。対象者を一部の専門職に限っているが、今後広げるべきだ」という現状認識だ。そして、反対する野党、労働側に対して「生産性の向上を促す新制度を企業が使えなければ、日本の国際競争力が落ちる恐れがある。それでは従業員も不幸になる」とけん制している。

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