2018年 10月 22日 (月)

武田薬品が大勝負 巨額買収への期待と不安

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   武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアーを総額約460億ポンド(約6兆8000億円)で買収する。両社経営陣が2018年5月8日、合意に達した。今後、両社の臨時株主総会で承認を得て、19年6月までに買収を完了させる予定で、実現すれば、日本企業によるM&A(合併・買収)として過去最大案件となる。自分とほぼ同規模の相手を買収するという、武田にとって、まさに社運をかけた大勝負だ。

   両社の売上高はそれぞれ1.5兆円程度、単純に合算すると3兆円程度となり、世界9位の米ギリアド・サイエンシズなどと並んで世界の製薬業界でトップ10入りを果たす。これにより収益力や開発力を大幅に高めて欧米大手に対抗する方針だ。だが、巨額買収による財務悪化などへの懸念も強い。

  • クリストフ・ウェバー社長CEO (画像はプレスリリースより)
    クリストフ・ウェバー社長CEO (画像はプレスリリースより)

新薬開発と販売強化

   武田の発表では、シャイアーの全株式を、1株あたり約49ポンド(約7200円)で買い取る。買収資金は1株あたり約30ドル(約3300円)の現金と、武田が発行する新株を組み合わせる。必要な資金調達のめ、米JPモルガン・チェース、三井住友、三菱UFJの3行と限度額308億ドル(約3兆3500億円)の融資を受ける契約を結んだ。

   「二つの会社が一緒になることで、R&D(研究開発)主導の製薬業界の真のグローバルリーダーをつくることになる。地理的なカバーでも非常に魅力的だ」。武田のクリストフ・ウェバー社長は買収合意を発表した後の電話会見で語った。

   武田の狙いは大きく分けて、新薬開発と販売強化の2面がある。新薬の面には、文字通りのR&Dの強化が一つ。新薬の開発には1000億~2000億円という多額の費用と10年超の時間がかかるため、体力勝負の側面が強く、従来から、規模拡大が世界共通の課題だった。ただ、一からの開発は時間がかかるため、既に新薬を開発した同業者を買収するというのが近年の傾向になっている。武田自身、2008年にがん分野に強い米ミレニアム・ファーマシューティカルズを約8800億円、17年にも同じく米アリアド・ファーマシューティカルズを約6000億円で買収した。既に持つラインアップと開発力の両にらみのM&Aだ。

借金の膨張

   シャイアーは、血友病など希少疾患の治療薬や血液製剤に強みがあり、開発が最終段階にある新薬候補も複数持ち、遺伝子治療の分野も得意としている。消化器系疾患、がん、中枢神経系疾患という武田の三つの重点領域に加え、近い将来、新たな収益の柱になりうるのが大きな魅力といえる。

   販売面でも、シャイアーは世界最大市場の米国で強いほか、世界100か国以上に販売網を持つ。日本中心にアジアに強い武田との地域補完性が高いと判断しており、海外の販路拡大を狙う。

   このほか、通常のM&A同様、コスト削減効果を見込むのはもちろんのことで、合併3年後に年14億ドル(約1500億円)節減できると弾いている。

   懸念もある。まず借金の膨張だ。今回の買収は、3月に発覚した時手では、シャイアーの当時の時価総額が4兆円あまりだったことから「4兆円買収」「5兆円買収」と言われたが、その後の交渉で7兆円近くに膨らんだ。それでも、武田がこれ以上出せないとして考えていた額よりは少なくて済んだと言う。とはいえ、武田は2017年9月末時点で1兆1000億円の有利子負債を抱え、これに今回の買収のための借入3兆円が加わる。さらにシャイアーも2兆円程度の負債があるとされ、買収後の負債は単純計算で6兆円程度まで膨らむ恐れがある。

欠かせない「株主の理解」

   今回、米系格付け会社のムーディーズ・ジャパンは5月9日、武田の発行体格付けを「A1」から「A2」に1段階引き下げたが、これは過去の買収や直近の業績などを受けてのことで、シャイアー買収発表を受け、さらに格下げ方向で見直すとしている。

   今回の買収の資金確保のため、武田が新株発行を盛り込んでいるのも不安材料だ。武田の時価総額、この間の株価下落もあって3兆円台半ばになっており、株価の動向によっては、現状に匹敵する新株の発行が必要になるとされる。株式の価値が希薄化する懸念があるわけだ。確かに、シャイアーは2017年12月期の営業利益が2600億円と、武田の1500億円(17年3月期)を上回っており、1株利益は株数が2倍になっても目減りしない計算にはなるが、将来的にシャイアーの成長性を疑問視する声もある。

   実際、市場の反応は冷ややかで、買収交渉大詰めで金額膨張の情報が広がる中、4月25日には東京株式市場で武田の株価は一時4398円をつけ、年初来安値を更新。その後は4500~4600円を挟む展開で、年初来高値の6693円を2000円以上下回る水準だ。

   株主総会で買収への同意を得るために、株主の理解が欠かせない。日経新聞の社説(5月9日)も、「今回の買収が『高値づかみ』ではなく、財務の健全性を引き続き維持できるという見通しを経営陣は分かりやすく発信する必要がある」と、注文している。

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