2018年 11月 16日 (金)

中国電池メーカーのマンモスCATL  上場時価2兆円でも残る不安

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   2018年6月19日に日本のフリーマーケットアプリ大手のメルカリが、東京証券取引所の新興企業向け市場「マザーズ」に上場し、いきなり時価総額が7千億円を超えた。その少し前に、6月11日に中国の電池メーカー、CATL(寧徳時代新能源科技)も深セン証券取引所のマザーズに上場し、19日時点では時価総額がすでに1267億元(2兆1500億円、1元は約17円)と、メルカリの3倍に達した。

   2011年12月、CATLが『企業法人営業認可証』を取得した時、登録資本金はわずか100万元だった。中国の新エネルギー自動車という風に乗り、市場や技術、特に政策による補助金の下で、同社はわずか6年半の間に、BYD、パナソニック、サムスンなどの国内外のライバルを追い抜いて、世界シェア第1位の自動車用電池システムサプライヤーに変身した。

  • 北京など中国の主要都市では、ほぼすべての大型駐車場に電気自動車用の充電設備がある
    北京など中国の主要都市では、ほぼすべての大型駐車場に電気自動車用の充電設備がある

中国内外の主要EVに電池を供給

   株式上場によって、CATLは生産能力の拡張を継続することを望んでいる。

   中泰証券の統計データによると、2017年のCATLの自動車用電池出荷量は12GWhで、中国市場で約30%のシェアを占めただけでなく、この年に世界市場において販売量でトップに躍り出た。

   メディアの報道によると、昨年から、CATLは激しい勢いで業務を拡大しており、毎日24時間生産しても終わらないほど仕事があるという。

   CATLは、投資家募集の意見書の中で、生産能力の不足は「企業競争力の劣勢の一つ」、また「当社が今抱える顧客の新エネルギー自動車の生産量は拡大する一方であり、新たな顧客の開拓が続いており、今の生産能力では将来的な市場のニーズを到底満たせない」と記されている。

   中国工業・情報化部などの三つの部(省)及び委員会が2017年4月に発表した『自動車産業の中長期的発展計画』では、2020年までに、国内の新エネルギー自動車の年間生産販売量を200万台にすることを打ち出している。また2025年までに、新エネルギー自動車が自動車販売に占める割合を20%以上にすることも言及されており、市場のニーズにはまだ大きな余地がある。

   この時代のボーナスによる加勢もあって、新エネルギー自動車業界に流れる資金が次第に増大している。CATLは昨年一年間だけで電気自動車メーカーNIO(蔚来汽車)やWM Motor(威馬)汽車などIT企業系自動車ブランドなど119社もの新たな顧客を見出している。CATLの販売量は増加の一途を辿っている。同じく中泰証券の統計データでは、2018年の第1四半期の国内市場におけるシェアは30%から50%にアップしたという。

   また、厦門大学・中国エネルギー政策研究院の研究員である王爾徳氏がメディアに紹介した話によれば、CATLはすでにBMWやフォルクスワーゲン、日産などの世界で一流の自動車メーカーの動力電池供給システムの中に入っておりCATLとBMWなどとの間では、合同で投資をしてカスタマイズされた生産ラインを研究開発している。

   CATL最高経営責任者(CEO)黄世霖氏が外部に語った話によると、2020年までに、CATLの動力電池生産能力は50GWhに達する見込みだという。自動車一台当たりの電力量を80KWhで計算すると、寧徳時代一社だけで60万台以上の新エネルギー自動車の電池のニーズを満たすことができる。

補助金による追い風はいつまで続くのか

   CATLが設立された2011年に、全中国における新エネルギー自動車の販売量はわずか8000台ほどだったが、2014年には7万5000台まで上昇した。そして2015年にはLG、サムスン、パナソニックなどの日韓企業が機会をとらえて、完成された電池技術を携えて中国市場に進出してきた。

   国内の自主ブランドの電池の工場出荷価格は一般的に2.5-3元/whだったのに対し、上記の日韓企業の価格は1元/whだった。赤字を計上してでも出荷することによって、速やかに奇瑞(チェリー)や吉利、長安、上海汽車などの主要な自動車メーカーからの注文を勝ち取った。これでは長続きはしない。2016年に国家工業・情報化部が発表した自動車電池企業の「ホワイトリスト」から上記の日韓企業は外れ、補助金の対象外になった。この時から、中国国内の自動車メーカーはすぐに政策の方向性を理解して日韓企業との取引を終了した。

   この時からCATLの一人勝ちの千載一遇の機会がやってきた。

   CATLのキーパーソンで創業者である曾毓群氏や黄世霖氏などは、同社を立ち上げる前は日本との合弁企業に長年勤めていたが、その企業は携帯電話バッテリーの売り上げで世界のトップだったとのことだ。

「2010年ぐらいに、曾氏と黄氏は一団を引き連れてATLを去り、寧徳時代を設立した。同社の略称はCATLだ。CATLの登録資本の面は完全に中国化されており、民族のスマート製造ブランドになった。それが国による国内電池メーカーの発展を支持する政策に合致した」

と動力電池の研究に詳しい研究者が中国メディアに打ち明けている。

   日韓の電池企業の電池が中国国内で道をさえぎられている間に、国家政策という塁壁の下でCATLは他者をリードする立場になり、瞬く間に販売量で世界トップの自動車用電池企業に成り上がった。

下がり続ける粗利率

   しかし、遅くとも2020年までに、中国政府は国内の電池市場の保護を解除する見込みだ。そうなると、CATLはいずれ正面きって日韓の電池企業との戦いを迎えることになるだろう。

   新エネルギー貨物車で知られる容大智造の創業者・王祖光氏は次のように見ている。

「生産能力と技術がCATLの二大城濠であり、中でも技術による保護効果はより肝要なものだ。CATLは電池においてしばらくリードしていた技術によって、瞬く間にマンモス企業へと成長した。しかし、それは決して非常にたくましいマンモスというわけではない」

   CATLは生産能力の急速な拡大を図っているが、粗利率は下落している。2016年の43.7%から2017年には36.29%に減少しており、2018年第1四半期はさらに32.77%まで低下している。

   2017年、自動車用電池の生産能力の速やかな増強と新エネルギー自動車の補助金政策の調整の影響を受けて、自動車用電池システムの販売価格が大幅に下がり出しており、それが同社の粗利率の下降を招いた。

   さらにCATLに近い人物は、以下の懸念を示している。

「CATLの管理、技術、グループはいずれも強いが、それは結局のところ政策のおかげで食べながら大きくなってきたのだから、彼らは現状に甘んじるのではなく、迫りくるリスクについて考慮すべきであり、外部からのボーナスがすべて消える前に、自力でご飯を食べられる力を身に付けなければならない」

   「吹く風もいずれ止む日がある」。国家の補助金政策が収縮を続けている中、世界の動力電池技術も新旧交代が加速している。それゆえ、CATLはIPOや資金調達、生産能力の拡大、市場シェアの拡大、技術の向上により、言わば城濠の構築を急いでいる。こうしなければ、国家政策と高額の補助金により瞬く間に肥えた企業は、真の生存能力を得ることができない。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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