2024年 5月 4日 (土)

海のプラごみ、鈍い日本の対応 環境より産業?トランプ氏への配慮?

「温暖化と同じ」指摘も

   大手紙はこうした日本の取り組みに、押しなべて冷ややかだ。

   G7サミットでの憲章への署名拒否について、「市民生活や産業界への影響調査ができていなかったと、政府は説明する。だが、海のプラごみは新たな地球環境問題としてG7の主要課題となっていた。政府は危機感を持って国内対策を促進しなければならない」(毎日6月18日)、「この問題は3年前の首脳会議からの懸案だ。今さら調整のための時間が必要だなどといっても説得力を欠く。『環境よりも産業』という政権の姿勢が、日本の評判を傷つけている」(朝日20日)と批判。日経(20日)も「米国とともに署名を見送った。環境規制に後ろ向きなトランプ米大統領への配慮もあったようだ。安倍晋三首相はG7で対策の重要性を語ったが、行動を伴わなければ本気度が問われる」と、手厳しい。

   「循環戦略」など政府の今後の取り組みについては、「対策の効果を上げるには、使用量削減などの数値目標を戦略に書き込む必要がある」(毎日)、「環境省や経済産業省は製品種類ごとなどの具体的かつ実効性のある削減ルールを早急に詰めてほしい」(日経)と要望、「一部の業界には規制を嫌う声が根強くある。政治のリーダーシップが不可欠だ」(朝日)と釘をさす。

   東京(6月8日)は「今のところ、国として使い捨て製品の流通規制にまでは踏み込むつもりがなさそうだ。......人の仕業は必ず人に環るというのも温暖化と同じである。海洋国、そして廃プラ大国日本は、ここでも世界の大きな流れに取り残されていくのだろうか」と、危惧の念を表明している。

   G7サミット前に社説で取り上げた読売(5月30日)は、憲章には触れず、「官民を挙げて、プラスチックの再使用やリサイクルをさらに促進したい。監視や啓発を強化し、不法投棄を防止することも大切だ」と書くが、むしろ、排出量の多い中国以下のアジア圏について紙幅を割き、「急速な人口増加と経済発展に、ごみ処理のシステムが追い付かない現状を改善せねばならない。......日本はプラごみの回収やリサイクルなどで高い技術力を有する。途上国の循環産業の成長を支援することは、重要な国際貢献である」と、国際協力に重点を置いた書き方だが、それはそれとして、日本の取り組みの遅れへの切り込みの弱さが目立った。

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