2018年 11月 18日 (日)

【震災7年 明日への一歩】東電福島第一原発のいま(2) 防護服なしで1号機のそばに近づく

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   東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実に進めていくために、現場の環境改善がノンストップで続けられている。

   放射線量の低減はもちろん、作業員の健康を守るための徹底した被ばく線量管理や夏季の熱中症対策、温かい食事がとれる大型休憩所の整備と、改善の努力がこの7年間積み上げられてきた。

  • フェーシング作業によりモルタルで覆われた敷地内
    フェーシング作業によりモルタルで覆われた敷地内
  • 取材班はGゾーンを一般作業服で取材した
    取材班はGゾーンを一般作業服で取材した
  • フェーシング作業に従事した曽谷哲次さん
    フェーシング作業に従事した曽谷哲次さん
  • 大型休憩所にある食堂
    大型休憩所にある食堂
  • 食堂のメニューのひとつ
    食堂のメニューのひとつ

敷地内の96%は一般作業服で作業できる

   現在、福島第一原発敷地内の96%は「グリーン(G)ゾーン」と呼ばれる、一般作業服での作業が可能なエリアだ。J-CASTニュース記者はGゾーンの取材にあたり、長袖、長ズボンの普段着に薄手のベスト、軍手、マスク、ヘルメットの下に被る白いメッシュ帽を身につけ、青い靴下を二重にして作業靴に履き替えた。ベストは2つの胸ポケットに構内入構証と線量計を入れる用途のもので、バスを降車して取材する際にはヘルメットをかぶった。全身を覆う「防護服」や全面マスクは不要で、一般的な建設現場や工場見学の際の安全装備と変わらない印象だった。

   「敷地内の96%」には、原子炉建屋の近くも一部含まれる。記者はこの服装のまま、1号機から80メートルの地点まで徒歩で近づき、しばらく滞在することができた。さらに2号機と3号機の間を通る道も、今では一定時間バスから降りて見学可能だ。確かにこの2か所は他と比べて線量が高く長時間はとどまれない。それでも少し前までは、厳重な装備でないと近づくことすらできなかったのだから、環境の改善がうかがえる。

   作業員にとっても、心身ともに負担はずいぶん減ったはずだ。事故発生からしばらくは、作業員は車で片道約40分の距離にある「Jヴィレッジ」(楢葉町)で防護服に着替え、往復していた。暑い日の作業では、全面マスクの中に汗が溜まるほどの厳しい環境で、それでも放射性物質による汚染のリスクを避けるため、移動中も全面マスクを脱ぐことができなかった。現在、着替えは敷地内の建物で可能なうえ、以前とは比べ物にならないほど軽装で済む。

線量の低減に貢献した「フェーシング」

   敷地内の線量低減に貢献したのが、草木や土を除去したのちに地表面をモルタルで舗装する「フェーシング」と呼ばれる作業だ。取材中、記者の目には敷地内の広範囲が灰色となっている光景が飛び込んできた。むき出しの土を覆うことで、ちり、粉じん等の飛散を抑制する。また、舗装により雨水が土壌にしみこんで地下水になることを防ぐことで、地下水の量を低減させる効果もある。

   2016年3月31日付の東電資料によると、2014年5月に始まった工事は16年3月までに、原子炉建屋1~4号機周辺と、一部ほかの工事の干渉箇所を除く全エリアで完了。対象面積145万平方メートルの約90%に相当する。東電によると、以後も順次フェーシングを進めているという。

   放射性物質を扱う仕事での被ばく、いわゆる「職業被ばく」について、法令で定められている被ばく線量の限度は、年間最大50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトだ。東電発表では、2017年度における作業員の累積被ばく線量の平均は2.69ミリシーベルトになっている。

   実際に福島第一原発でフェーシング作業に従事した人に話を聞いた。三井住友建設に勤務する曽谷哲次さんは、「三井住友・NIPPO1Fフェーシング工事(西側エリア)共同企業体 福島第一原子力発電所作業所長」として2014年8月に来た。

   工事全体は5社で分担し、曽谷さんの会社は敷地内の西側エリアを受け持った。所長という立場で、平均70人の作業員を率いた。初めは全身白い防護服に全面マスクで、しかも真夏だった。作業中、目の下に汗がたまった。曽谷さんは作業員の体調をこまめにチェックし、配慮を続けたおかげで、チームの中で熱中症で倒れる人は出なかった。また工事現場は安全第一だ。だが全面マスクは声が聞き取りにくい。そこで曽谷さんのチームは、「スポーツの審判などが使うホイッスルを全員が持ちました」。音が響くおかげでお互いが合図を送りやすく、けがにつながるリスクを回避した。工事を完了させた曽谷さんは、こう話す。

「人が入れない場所を入れるようにする、重装備のところを軽装備にするのは、土木技術者である我々の使命だと思っています。敷地内を(作業員らが)軽装で歩いている姿を見ると『貢献しているかな』と感じます」

温かい親子丼やラーメンが味わえる食堂

   作業時以外の環境も、7年間で大きく変わった。2015年、敷地内に建てられた「大型休憩所」の稼働が開始。休憩スペースが確保されたのに加えて、温かい食事をとれる食堂も設置された。福島県産の野菜などを使い、メニューは定食をはじめカレーやラーメン、親子丼などの力が出そうなものが豊富だ。大熊町につくられた「福島復興給食センター」で調理されて運ばれ、配膳される。記者も実際にここで食事をとった。広いスペースには、作業員同士で食事しながら話したり、休憩がてらテレビをみながらくつろいだりといった様子が目に入った。

   コンビニエンスストアも営業している。陳列されている商品は、基本的にどの店とも変わらない。作業員にとって、ちょっとした買い物ができる場は「憩いのひと時」につながるだろう。

   作業員が「安心して働ける環境づくり」は、今も続いている。

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