2024年 4月 26日 (金)

稀勢の里が残した「負の記録」 和製横綱誕生に暗い影を落とすか

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   大相撲の横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が2019年1月16日、引退を表明した。進退のかかった初場所は初日から3連敗を喫し、4日目の午前、引退が決まった。横綱在位12場所は昭和以降、10番目の短命となった。

   幕内初優勝を果たした2017年1月場所後、稀勢の里は日本出身力士として19年ぶりとなる横綱昇進を決めた。新横綱として臨んだ翌3月場所では13勝2敗の成績で連続優勝を果たしたが、以降はケガに泣き、横綱として満足な成績を上げることが出来ず、数々の横綱ワースト記録を更新した末の引退となった。

   2017年5月場所で途中休場し、その後、8場所連続で休場した。年6場所制となった1958年以降、貴乃花の7場所連続休場を抜いてワーストで、不戦敗を除く8連敗もワースト記録。横綱在位中の勝敗は4日目の錦木戦が不戦敗となるため36勝36敗で、勝率5割は過去最低となる。また、横綱在位中の8割を超す休場率も最低で、2017年11月場所に記録した1場所5個の金星配給もまた、ワーストタイの記録となる。

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あの横綱の苦い経験が...

   昨年の11月場所では、横綱として87年ぶりとなる初日からの4連敗を喫して途中休場。場所後に行われた横綱審議委員会において、進退に迫る初の「激励」が決議された。相撲ファンの期待を一身に背負った和製横綱が輝きを見せたのは、新横綱場所の1場所だけだった。

   稀勢の里が横綱に昇進するにあたり、横綱審議委員会は全会一致で稀勢の里を横綱に推挙した。稀勢の里の場合、2016年11月場所で優勝に準ずる12勝3敗をマークし、翌2017年1月場所において14勝1敗で優勝を飾っていることから内規上、問題はないが、一部メディアではこのプロセスの甘さを指摘する報道もみられた。

   過去には、幕内優勝のないまま横綱に昇進した第60代横綱双羽黒の苦い経験がある。双羽黒は1986年7月場所後に横綱に昇進。それまで幕内での優勝経験はなかったが、大関での直近2場所の成績(12勝3敗、14勝1敗)と将来性を見込まれ横綱昇進が決まった。

   横綱昇進後、双羽黒が幕内優勝をすることはなく、1987年12月に部屋でのトラブルから突然廃業。横綱在位わずか8場所で角界を去る結果となった。これを機に、横綱昇進の内規である「大関で2場所連続優勝」の原則がより厳格に適用されるようになった。

1988年以降、連続Vなしの横綱昇進は2人だけ

   1988年から2012年までに横綱に昇進した8人の力士はすべて大関で2場所連続優勝を果たしている。2014年3月場所後に昇進した鶴竜(33)=井筒=は、1月場所で14勝1敗の優勝同点、3月場所は14勝1敗で優勝の結果を残し推挙された。1988年以降、大関で2場所連続優勝をしていないのは、鶴竜と稀勢の里の2人だけとなる。

   鶴竜と稀勢の里の横綱昇進で、一度は緩和の方向に向かいつつあった内規の適用が今後、「再び厳格化するのでは」との声が関係者の間で上がっている。稀勢の里の場合は、ケガによる影響で横綱として不本意な結末を迎えることになったが、数々の歴代ワースト記録を更新したのは事実だ。

   横綱白鵬、鶴竜をはじめとするモンゴル出身力士が上位を占める中、日本出身力士が2場所連続で優勝するのは簡単なことではない。実際、1998年7月場所で横綱昇進を決めた3代目横綱若乃花以降、21年間の長きにわたって2場所連続優勝した日本出身の大関はいない。

   先場所優勝の関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=など、若い日本出身力士の台頭が見られるが、角界関係者は次のように話す。

「確かに若い力士たちの勢いは感じるが、横綱となると話は別。横綱昇進がかかる大関のプレッシャーは相当なもの。歴代の多くの大関がその壁を越えられなかった。これでまた2場所連続優勝しなければ横綱になれないとなると、次の日本出身横綱誕生はいつになるのか...」
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