2019年 7月 20日 (土)

体は大型化、長期の「オフ」なし... 増える負担が力士を追い詰める

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   大相撲の初場所4日目に横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が引退した。横綱昇進後、ケガによる休場が続き、このケガが引き金となって引退に追いやられた。今場所の上位陣に目を向けると、大関栃ノ心(31)=春日野=が右ももの肉離れで5日目から途中休場し、横綱鶴竜(33)=井筒=は右足首を故障し6日目からの休場が決まった。

   近年、角界では故障者による休場が相次ぎ、稀勢の里のように完治せぬまま土俵に復帰するケースが見られる。ケガをごまかしながら土俵に上がることは、二次的な故障を招く危険性をはらんでおり、力士の相撲人生を縮めかねない。

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この50年間で幕内力士の平均体重は...

   力士のケガが多発する要因のひとつとして、力士の大型化があげられる。幕内力士の大型化が見られるようになったのは、ハワイ出身力士が台頭し始めた1980年代後半あたりから。元大関小錦を筆頭に、元横綱曙、武蔵丸ら巨漢を誇るハワイ出身力士のパワーに屈しないため、日本出身の力士は必死に体重を増やし、結果、幕内力士の大型化が進んだ。

   ハワイ出身力士の勢力に陰りが見え始めると、今度はこれに代わってモンゴルやヨーロッパ出身の大型力士が台頭。ハワイ出身力士同様、日本出身力士との体格の差は歴然で、日本出身力士が生き残る道は、大型力士相手に力負けしないことだった。

   50年前の幕内力士と現在の幕内力士の体格を比較すれば、力士の大型化は明確に分かる。今から50年前の1969年初場所の幕内力士の平均身長は180.4センチで、平均体重は125キロ。今場所の幕内力士の平均身長は184.8センチ、平均体重は166.5キロである。

稀勢の里の悲劇繰り返さぬためにも...対策急務

   この50年で伸びた身長4センチに対して、体重は実に40キロも増加している。場所ごとに番付の入れ替わりがあるため、数字が変動するため、あくまでも参考程度に過ぎないが、それを差し引いても身長に対して、大幅に体重が増えている事実は間違いないといえるだろう。

   無理な体重増加によるしわ寄せは、力士の腰、膝、足首などにくる。中でも大型力士に多く見られるのが膝の故障だ。適正を欠く体重に膝が耐え切れず、膝に爆弾を抱える力士は多く、場所中に膝にサポーターをする力士は少なくない。これをかばいながら稽古を続けることで腰や足首などを痛める力士もおり、一度、故障してしまうと、二次、三次的にケガが広がる恐れがある。

   しかも力士には、プロ野球選手のような長期のオフ期間はなく、常にスケジュールに追われている。本場所は奇数月の1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6度、15日間にわたって行われる。このうち3月は大阪、7月は名古屋、11月は福岡と地方での場所となり、それぞれの場所後に地方巡業を控える。例年9月場所後にも巡業が行われ、本場所と巡業が行われないのは、2月と6月だけとなる。

   ただ、本場所や巡業がないとはいえ、相撲のトーナメント大会などイベントが開催されることもあり、2月下旬には大阪場所の番付発表が、6月下旬には名古屋場所の番付発表が控える。多くの力士はこれに先立って地方入りし、場所に備えて稽古を開始するため、体を休める期間はわずか数週間のみとなる。

   また、地方場所や巡業の移動手段は電車や車が主なものとなるが、長時間の移動は腰や膝にくると、嘆く大型力士もいるという。過密スケジュールに追われ、ケガが完治せぬまま土俵に立ち続ける力士たち。稀勢の里の引退に始まった今場所は、栃ノ心、鶴竜と上位陣がケガのため相次いで休場。世代交代が叫ばれる角界において、稀勢の里の悲劇を繰り返さないためにも今後、何らかの対策を講じる時が来たのかもしれない。

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