2024年 4月 20日 (土)

池袋暴走で「上級国民の隠蔽工作」説も 運転手のサイト写真削除の理由、関係団体に聞いた

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   東京・池袋で母子2人の死者と8人の負傷者を出した自動車暴走事故に絡み、運転手の飯塚幸三・旧通産省工業技術院元院長(87)の名前や顔写真を掲載していた複数団体のウェブサイトの関連ページが「削除」されていることがインターネット上で憶測を呼んでいる。

   元高級官僚の飯塚氏はその後も多くの組織で重役を歴任しており、肩書きも多い。ネット上では閲覧できなくなっているサイトページがあることについて「証拠隠滅のためか」などの声もあがっているが、実際はどうなのか。事故後にサイトの一部の関連ページを削除したある団体の担当者は、J-CASTニュースの取材にその理由を説明した。

  • 東京・池袋の事故現場。人々が花束などを供え、被害者を悼んでいる(2019年4月23日撮影)
    東京・池袋の事故現場。人々が花束などを供え、被害者を悼んでいる(2019年4月23日撮影)
  • 池袋の事故現場には、花束のほか菓子や飲み物なども続々と供えられた(2019年4月23日撮影)
    池袋の事故現場には、花束のほか菓子や飲み物なども続々と供えられた(2019年4月23日撮影)
  • 東京・池袋の事故現場。人々が花束などを供え、被害者を悼んでいる(2019年4月23日撮影)
  • 池袋の事故現場には、花束のほか菓子や飲み物なども続々と供えられた(2019年4月23日撮影)

「評議員」つとめた公益財団法人でレポートページを削除

   事故発生は2019年4月19日12時半ごろ。乗用車が150メートルほど暴走し、赤信号を2回無視して歩行者を次々はねた。事故を起こした運転手が飯塚氏であることが報じられると、インターネット上では同氏と関係があると指摘される団体のサイトの動きにも注目が集まった。

   そのひとつが、公益財団法人スガウェザリング技術振興財団(東京都新宿区)。自然環境で起きる工業材料の劣化を防ぐ「ウェザリング技術」に関し、功労者への表彰や研究助成を例年実施しており、その贈呈式に飯塚氏が出席していた年がある。団体の評議員をつとめていたためだ。式の模様は団体サイトでレポートしており、飯塚氏の名前と顔写真が掲載されていたものもあった。

   ところが池袋暴走事故後の24日現在、贈呈式のページに飛ぼうとしても閲覧できない。ネット検索すると少なくとも15~18年の式に飯塚氏が登壇し挨拶したことが掲載されてきたことがキャッシュ情報などで確認できるが、いずれの年のページも公式サイトからは削除されている。

   こうした事実は一部ネット掲示板で憶測を呼び、「上級国民の隠蔽工作すげぇな」「証拠隠滅じゃねーか」などといった声があがることになった。

写真使用に関して「報道関係の問い合わせが非常に多かったため」

   削除の理由についてスガウェザリング技術振興財団の事務局担当者は24日、J-CASTニュースの「池袋の事故を受けた措置か」との取材に対し、「池袋の事故後、サイトに掲載している写真を使わせてくれないかという報道関係の問い合わせが非常に多かったためです」と説明。削除は飯塚氏やその関係者の指示ではないと話す。

「サイトでは飯塚さんが贈呈式に出席した時の写真が掲載されていました。しかし当団体はサイトポリシーで、写真使用については写っている本人の許諾を得た上で認めることを定めています。

飯塚さんは既に評議員をご退任されており、現在は当団体と直接の関係がありません。写真使用の問い合わせが来ても、飯塚さんに許諾をとるのが難しい状況です。問い合わせはすべてお断りしておりますが、そうであれば苦肉の策ですが、サイトのページを削除したほうがよいと判断しました」

   一方、削除の旨は特段の告知は行っていない。公表している「平成30年(2018年)6月28日現在」の評議員名簿にも議長として飯塚氏の名前が記載されている。このような状態について担当者は、

「公式サイト上でも最新の役員名簿を掲載できておらず、順次更新しサイト上でご案内していく予定です。今は春で多くの行事を抱えており、なかなか手が回っていない状況です」

と説明した。

経産省「勲章受賞者」が閲覧できないが...

   旧通商産業省(現・経済産業省)工業技術院院長だった飯塚氏だが、15年秋の叙勲では経産省の推薦で「瑞宝重光章(瑞重)」を受賞し、同省も15年11月3日付で公式サイトに「勲章受賞者名簿(経産省推薦分)」のニュースリリースを出していた。

   だが24日現在、同リリースはネット検索ではヒットするものの、開こうとすると「存在しません」の表示が出るため、ネット上では「経産省の叙勲pdfは真っ先に消された」などとやはり怪しむ声があがっていた。

   ところが、経産省広報課の担当者は取材に対し、「発表から3年が経過したニュースリリースは順次掲載を終了しています」と説明する。同省のリリースをまとめたサイト上でも「過去3年度分を掲載しています」との注意書きがある。担当者によれば、

「国会図書館の『WARP(ワープ)』というデータベースシステムで、過去リリースの保存業務を行っています。そこで過去の叙勲受章者名簿のリリースをご覧になることができます」

とのことだ。実際にWARPで探すと、15年秋の勲章受章者(経産省推薦分)のページが閲覧でき、瑞重を受賞した飯塚氏の名前が載った名簿も確認できる。

   経産省サイトでの掲載を終えたのは池袋の事故前だという。つまり、閲覧できなくなったのは通常業務の一環だったということになる。

   関係団体だとネット上で指摘されているものが他にもある。都内に本部を置くある団体のウェブサイトのキャッシュを見ると、役員が書かれたページに「理事長」として「飯塚幸三」の名前が記載されていた。それが24日現在は「存在しません」などと表示され、閲覧できない状態となっている。ただ経歴などが確認できず、池袋の事故の飯塚氏とは同姓同名の別人の可能性も否定できない。J-CASTニュースは24日、事実確認のため、この団体に電話取材を試みたが、複数回連絡しても誰も出なかった。

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