2019年 5月 24日 (金)

内定辞退は「直接会って」、日経報道が物議 専門家「大企業であればわざわざ出向かなくても...」

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   「内定辞退の正しい伝え方、『直接会って、まず感謝』」――。就活マナーについて日経産業新聞が2019年5月15日に報じた内容が、ネット上で物議を醸している。

   記事では、学生が企業側に出向き、「内定をくれたことへの感謝を、いの一番に伝える」という大学側の話を紹介していたが...。

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ネット上「なぜ受験者だけがこんな負担を強いられる?」

   批判を集めているのは、学習院大学が4月に開催した「内定獲得後のマナーセミナー」で、キャリアセンター担当事務長が学生を前にして語った内容。記事によると、事務長は、本命企業から内定をもらった際は、すぐ既に内定していた企業の人事担当者に連絡をし、「進路について相談したいので伺いたい」と告げるべきだと伝えている。事務長は、「メールの送りっぱなしや電話で完結してはダメ。必ずその企業に足を運ぶことが重要」とし、担当者と面会した際は、ポイントとして「内定をくれたことへの感謝を、いの一番に伝えること」と説く。

   記事は、5月15日に日本経済新聞電子版にも転載された。記事をめぐって、ツイッター上では

「交通費や時間をかけて受けた受験者を理由も説明せずにメール一通で落とすような状況がある。にもかかわらずなぜ受験者だけがこんな負担を強いられる?」
「直接会う必要がどこにあるのでしょうか?人事はそんなに暇なのですか?」
「直接会ったら、人事から時間あげるからもう少し考えてみて。と言われ、断るのが難しくなる。または、余計に時間がかかる。電話(手紙)で十分では?」

などと批判や疑問の声が相次いでいた。

学習院「(指導を)今後も変える方針はない」

   ネット上での意見などを、大学側はどう受け止めているか。J-CASTニュース編集部では16日、学習院の広報課担当者に話を聞いた。

   担当者によると、セミナーは5年ほど前から実施。「必ず企業に足を運び、内定をくれたことへの感謝を、いの一番に伝える」というのはキャリアセンターとしての考えだという。

   「学生ですと企業で働いたことがありませんので、企業側の視点を持つことができない。企業の方が採用活動をする際にどれだけ費用をかけているのか、1人内定を出すのは会社として重要な経営判断になってくる。その辺は十分理解しておくようにという前提の話がありまして」。

   担当者は、セミナーについてこう話す。「出してくれた内定を断るにしても、まずは感謝の気持ちを伝えようというところです」。

   内定を断る場面に接した際、「企業の方も人ですので『簡単にすまそう』といった思いが透けてしまうとこじれるところもあると思います」と指摘。「実際なるべく会いに行って事情を説明する、電話でアポイントを取らなければいけません。その際、『忙しければこの電話でいいですよ』『気持ちだけで充分です』と企業の方がいうところも多いと思います。『べき』論ではなく、趣旨を理解してもらったうえで『誠意を持った対応をしていきましょう』と伝えている」。

   セミナーのもう1つの前提は、「内定をもらって承諾した場合」。担当者は、「選考の過程で口約束のような感じで内定というケースですと、次に最終意思確認の選考があったりします。そういう場合には当然、『電話で断っていいですよ』と学生には伝えている」と付け加えた。

   一方で、学生たちは企業から「お祈りメール」や「サイレント」(何も連絡しないこと)で不採用になってしまうケースもある。セミナーではこうしたケースについて学生に「いやな思いした人」と聞くと、「多くの学生は手を上げる」という。「『いやな思いをしたのであれば、同じことを(企業側に)するのはやめよう』というところも講座で言っています。社会人になったとき、どういった付き合いになっていくかわかりませんので、誠意をもって対応していこうというところもキャリア教育の一環かと思っています」。

   一方、企業からは、「学習院の学生さんは直接会いに来て説明してくれたんです」という趣旨の言葉をもらうことがあるという。「企業様から『結果的に今回は採用につながらなかったけれども今後、学習院の学生を採用したい』という声はいただくこともあります。意図してやっているわけではないが、結果的に学習院の良さといいますか、伝えられているのかなと」。

   キャリアセンターでは、セミナーだけでなく個別で相談に来た学生にも、内定を辞退する際は直接企業を訪問するよう指導。担当者は「今後も変える方針はない」としている。

大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんに聞く

   J-CASTニュース編集部では16日、『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)の著者として知られる、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんにも話を聞いた。

「多人数採用する大企業であればわざわざ出向かなくても、極論メール、せめて電話という程度で済む話です。50人採用する場合、1人2人辞退するとか、まとまった数の辞退が出たとしても補充採用とかで余力があります。2、3人しか採用しませんよという中小企業や少人数しか採用しない企業ですと、1人辞退するだけで割合からすればそれだけボリュームが大きい。その場合は『こういう事情で辞退する』とか、あるいは内定を受ける前に『一番志望度が高いのはここで、結果が出るまで1カ月待ってください』とか言って、お互いコミュニケーションを取っていれば済む話です。『感謝の気持ちを持って』というところだけが1人歩きして、若干『炎上気味』だと感じました」(石渡さん)

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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