2024年 5月 5日 (日)

デレマス総選挙、「炎上アイドル」が3位に 夢見りあむは「現代ネット社会」の化身なのか

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   人気アイドルゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ(デレマス)」で毎年恒例の投票企画「シンデレラガールズ総選挙」の結果が2019年5月20日に発表された。ツイッターではこの話題をつぶやくユーザーであふれているが、この第8回ではあるキャラクターが総選挙をひっかき回した。

   ネット社会の「炎上」や、地下アイドルの闇を体現したようなキャラクター、その名は夢見りあむ。登場からわずか3か月で、プレイヤーからの投票で順位を決めるこの企画で、200近いアイドルキャラクターの中で3位に滑り込んだ。12年スタートのゲームで、並みいる人気キャラを押しのけて登場したてのアイドルが上位にランクインする、という驚きの現象になった。

アイドルオタクで弱メンタルなゆとり世代

   夢見りあむは19年2月7日にゲームに初登場。彼女の設定には現代のネット社会の流行を詰め込んだような要素が与えられた。「ゆとり世代」を自称する19歳で、ビジュアルはバーチャルアイドル(実際非実在なのだが)のようなピンク髪、趣味は(アイドルの)現場参戦・夜中にポエムをつぶやくこと。セリフにほぼ一貫しているのは、承認欲求とアイドルオタクぶり、炎上も辞さないが同時にバッシングを恐れる、複雑かつ繊細な性格だ。

「もっともっとチヤホヤチヤホヤされたい......もっとたくさんの人から、チヤホヤされたいんだぼくは!!」
「ぼく、アイドルの現場が好きだったんだ!ライト振ってるあいだは、何者でもない自分を忘れられたし。誇れることがなんにもない自分を忘れられたもん......。でも、そんなぼくがステージに立ったら、申し訳なさすぎだし!光を浴びてるあいだ、ずっと考えてた。炎上したらどうしよって」
「でもぼくは!マジメより!炎上してでもワンチャンの人気がほしい!!」

   承認欲求は強くアイドルになって認められようとするが、自称「打たれ弱いクソザコメンタル」で、すぐにネガティブな面を見せる。しかも、

「レッスンめんどくさい...頑張りたくない...やる気なんてないよう」

   と根気の無さを露呈する。専門学校を中退してアイドルになった経歴もあって、まるで「打たれ弱いゆとり世代の見本」として白眼視されそうなキャラクターである。しかし、そのような同時代を象徴するキャラクターをゲームに実装させたことがネットユーザーの格好の的となった。

   19年2月に初登場した頃からSNSなどで二次創作イラストが多数投稿され、「アイドルマスターシンデレラガールズ」に19年に新規実装されたアイドル7人の中で圧倒的なバズり具合を示した印象がある。

   総選挙順位の中間発表で総合順位3位に入り、そのまま最終順位も3位に。声優によるキャラクターボイスの実装と、上位入選キャラクターたちによる新曲への参加も決定してしまった。既存のキャラクターに投票したプロデューサー(プレイヤーの通称)の間では、新規キャラの躍進に対して反発も無いわけではなかったが、流行に飛びついたプロデューサーの「浮動票」を得て一気にのし上がった。

3位受賞で「チョロイなオタク!!」

   SNSの普及や握手会でアイドルとファンの距離がぐっと近くなった現代、ステージに立つ機会が乏しくともネットを通じて手軽にファンを獲得できてしまうようになった。歌やダンスの実力よりも、接近イベントで「神対応」ぶりを見せればファンの評価は上がる。反面、SNSでアイドルの言動は晒され、時に炎上に至る。実際に地下アイドル界隈では大小のスキャンダルが漏れ聞こえてくる。

   そうした現代のアイドルカルチャーをそのまま二次元のアイドルゲームに持ってきたのが「夢見りあむ」といえる。彼女が一躍時の人となったのも、キャッチーな設定がネットで短期間に拡散されたがためで、ゲームの中でシンデレラガールになるにもネット社会頼みと、生々しい現実とリンクし続けている。

   結果発表のサイトで、夢見りあむはこんなセリフを発している。

「チョロイなオタク!!ぼく頑張ったか!?努力なんてムダムダの無じゃん!?アイドルってなんなんだよぅ!!......はー、めっちゃやむ」

   2019年の今、アイドルの王道とは何なのか、こんな炎上マーケティングのようなやり方で人気を獲得していいのかと皮肉の効いたセリフだが、炎上は忘れられるのも早い。果たして1年後もこのような話題性を保っていられるか。夢見りあむのこれからには、ゲームをプレイするネット住民の飽きっぽさも試されることになりそうだ。

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