2019年 12月 12日 (木)

大学等無償化も「院生は対象外」 なぜ?文科省に見解を聞いた

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   低所得世帯を対象に、大学や短期大学などの無償化を図る「大学等修学支援法」が2019年5月に成立した。20年4月から施行される。

   法が成立し、文科省は現在、新たな修学支援制度の準備を進めているが、制度に関するQ&Aで「大学院生は新制度の支援対象にならない」と見解を示したことをめぐり、ネット上では批判の声も出ている。

  • 大学院生は制度対象外に…(2019年7月31日編集部撮影)
    大学院生は制度対象外に…(2019年7月31日編集部撮影)

「大学院への進学は 18 歳人口の 5.5%に留まっており...」

   新たな制度では、住民税非課税世帯、それに準ずる世帯の学生に対し、授業料や入学金減免の実施や、返済の不要な奨学金を給付する。両親、学生本人、中学生の計4人家族世帯で年収270万未満(住民非課税世帯)の場合、上限内で全額を支援。270万円~300万円未満なら非課税世帯の3分の2、300万~380万未満なら3分の1の額でそれぞれ支援する。

   大学授業料の上限額は国公立が約54万円、私立は約70万円。給付型奨学金も拡充され、年間で35万~91万円支給する。

   今回、文科省は7月3日に掲載した「Q&A」19ページで、「大学院生は新制度の支援対象になりますか」という問いに対し、

「大学院生は対象になりません。(大学院への進学は18歳人口の5.5%に留まっており、短期大学や2年制の専門学校を卒業した者では20歳以上で就労し、一定の稼得能力がある者がいることを踏まえれば、こうした者とのバランスを考える必要があること等の理由から、このような取扱いをしているものです。)」

との見解を示している。

   文科省の見解をめぐり、25日夜ごろから、Q&Aの当該箇所を引用し、「授業料免除ないならどうやって生活する?」という趣旨で疑問視する声がツイッター上で出ており、拡散された。以降もさまざまな反応が寄せられ、

「平成の30年間大学院重点化で院生増やしてきた政策は一体何だったのか。(中略)文科省は研究者を育てる気がないと思わざるを得ない」
「専門性高める暇があれば働けと申すか」
「大学院が含まれないのに"高等"なんだ」

などの声が上がっている。

   一方、

「高等教育無償化の文脈の中で、いきなり大学院まで無償化されるわけないだろ」
「大学院が高等教育無償化(給付型奨学金拡大)の対象にはなりません、って何かおかしい?」

と、理解を示す意見も出ていた。

文科省は「ユニバーサル化の段階」の違いを指摘

   J-CASTニュースでは7月31日、文科省高等教育局の学生・留学生課に取材した。

   17年12月、政府が閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」では、「最終学歴によって平均賃金に差があることは厳然たる事実である。貧しい家庭の子供たちほど大学への進学率が低い、これもまた事実である。貧困の連鎖を断ち切り、格差の固定化を防ぐため、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば専修学校、大学に進学できる社会へと改革する」などとしている。

   これを踏まえて担当者は、「一般世帯での大学や短大、専門学校の進学率もユニバーサル化(8割超え)の段階に達してきており、かつての高校の姿と同じようになってきている。高校か大卒かという最終学歴で平均賃金に差がある。ユニバーサル化している状況なので、経済的な理由で行けないとなると平均賃金に関わってくる。今回の授業料等減免と給付型奨学金支給は、格差の固定化を防ぐ観点で実施する」と制度の狙いを説明した。

   一方の大学院に関しては「ユニバーサル化の段階にあるかというと1割には至っていない。前段階の5割にも至っていない」と説明。そのうえで担当者は、

「今回(の制度で)打ち出しているのは、経済的に困難な人たちをどう支援していくのか、という部分。同じように大学院の方でも前面に出すのか、ということに関しては、全体の進学動向も十分に勘案する必要がある。(大学院への)政策としてのアプローチ手法は異なる」

と話していた。

   大学院に関してはこれまでも、国立大大学院生に対して成績や経済条件に応じた授業料減免の措置、成績優秀者の奨学金返済の免除などをする「業績優秀者免除制度」を実施してきているという。担当者は、「能力のある人たちをどういうふうにして伸ばしていくのかという観点で大学院の部分では手厚くやってきた」としつつ、「引き続きやっていきたい」と示していた。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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