2024年 4月 27日 (土)

鳥居や玉垣の基礎に、子ども乗せて記念撮影... 神社が親たちに注意喚起「安全のためです」

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   「一神職より真面目なお話です」――鳥居や玉垣の基礎に子どもを乗せて記念撮影している親子がいたとして、有鹿(あるか)神社(神奈川県海老名市)がツイッターで、危険な行為のためやめるよう呼びかけている。

   2020年に入ってから既に2回、こうした行為を見かけたという。有鹿神社の禰宜(ねぎ)・小島実和子さんはJ-CASTニュースの取材に応じ、「乗ってはいけないところに親が堂々とお子さんを乗せてしまうと、お子さんも問題ないことなんだと感じてしまいます」と、子どもに誤った認識が広まりかねないことを危惧する。

  • 有鹿神社(公式サイトより。許諾を得て掲載しています)
    有鹿神社(公式サイトより。許諾を得て掲載しています)
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「神社やお寺などの構造物にはのぼらないよう、教えてあげてください」

   「相模国で最古の神社」(公式サイト)として、少なくとも天智天皇3年(664年)には国家的な祭礼が行われたという由緒ある有鹿神社。近年は被り物をした「パンダ宮司」がいることでもインターネット上で話題を集め、人々に親しまれている。

   日頃は境内の風景や、神職の活動などを和やかに紹介している同神社のツイッターだが、「一神職より真面目なお話です」と切り出したのは2020年2月1日のことだ。

「今年になって、『玉垣や鳥居の基礎にのぼったお子さんと、それを注意しない、また、それを撮影する親』を2組目撃し、即注意をしております。神社の境内の構造物は、子どもがのぼって安全な遊具として設計されていません」

   さらに諭すような言葉で、境内での危険な行為を控えるよう注意喚起した。

「親に許されたという経験が、いつかお子さんが一人の時に倒壊の危険性のある構造物にのぼらせてしまうかもしれません。お子さんの命、安全を守るために、神社やお寺などの構造物にはのぼらないよう、教えてあげてください」

   1万回以上リツイートされ、「残念でなりません」「実際怪我する子供もいるので、、、こまりますね」「それは注意して当たり前ですね 親御さんしっかりしないと!」と同情する声も寄せられた。

声をかけると、逃げるように立ち去ってしまった

   有鹿神社の禰宜・小島さんはJ-CASTニュースの取材に、記念撮影する親子を見た時の様子を明かす。鳥居の脚についている台座に乗って写真を撮ろうとしているのを見つけた時、「危ないからやめてください」と声をかけたところ、逃げるように立ち去ってしまったという。小島さんは、日常ツイートの多いアカウントで真剣な注意喚起をした理由を「お子さんの安全のためです」と改めて強調する。

「子ども1人というより、親御さんが一緒になってやってしまうからこそ危険だと感じます。親が写真撮影のために、乗ってはいけないところにお子さんを堂々と乗せてしまうと、お子さんも『問題ないことなんだ』と感じてしまいます。その子がもう少し成長して、神社に子どもだけで遊びに来た時、何の気なしに同じように乗ってしまって、玉垣や鳥居が耐えられるかというと分かりません。

有鹿神社の玉垣や鳥居に関しては自動車がぶつかりでもしないと崩れませんが、そもそも人が乗ることを想定していません。住宅のブロック塀も同じですよね。そうでなくても寺社仏閣の構造物はどこも、震災の影響などで少しずつダメージを受けていると思います。場所によっては後継者不足で廃絶が近く、新しく直せないために、強度が小さいところも増えてくるかもしれません。子どもの安全が気になり、注意喚起することにしました」

   特に木造の場合、災害や老朽化などで鳥居が倒れてしまう例もある。牛嶋神社(東京都墨田区)では18年10月、台風24号の影響で鳥居が倒壊した(19年に再建)。18年8月には、テレビアニメ「らき☆すた」の聖地としても知られる鷲宮神社(埼玉県久喜市)の鳥居が倒れた。朝日新聞の18年8月11日の報道によると、柱部分に長年雨水がしみこみ、根本が腐っていたことが原因だった。

「常識として広まっていけば...」

   有鹿神社の鳥居は石造で、人が乗ったからといってすぐに倒れるわけでもない。だが前出の小島さんは、他の寺社で同様の行為をとってしまう場合のリスクを危惧し、「親御さんが注意しないと、お子さんは尚更気が大きくなり、それに慣れてしまうかもしれません」と憂慮する。また、「過去、他の神社では灯篭に上り、落ちて亡くなった子がいた事故の記憶があり、特に注意する意識を持つようになりました」という。

   群馬県高崎市の稲荷神社では18年10月、中学生が灯篭に上り、下りようとした際に灯篭の先端部分が落ちてきて死亡する事故があった。当時の複数の新聞報道によると、祭りの稽古を終えた子どもたちが遊んでいた中で起きたといい、灯篭の落ちた部分は約53キロあった。

   こうした安全面の問題ではないが、過去には「参拝のご家族が、お子さんを土足で御殿に上げ、写真を撮っている行為は見たことがあります。危険はありませんし、お子さんの靴ですからそれほど汚れていないという思いもあったかもしれません。神様に不敬ということと、それ以上に他の方は靴を脱いであがる場所なので注意しました。写真撮影のため、という点では今回と共通します。子どもの写真を撮りたいがゆえに、『見つからなければいい』とでもいうように、親御さんが子どもを乗せてはいけないところに乗せてしまう」(小島さん)ということもあった。

   小島さんは「神社の鳥居や玉垣、灯篭などに上るのは危ないということが常識として広まっていけば、注意もしやすくなりますし、危険な行為があれば周囲の方も気付きやすくなりますよね」と願っている。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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