2020年 9月 23日 (水)

テスラ株上昇の「実力」と「テクニカルな要素」

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   米電気自動車(EV)最大手、テスラの株価が時価総額でトヨタ自動車を抜いて業界首位に立ったニュースが注目を集めた。自動車業界は電動化、自動化など「CASE」と称される100年に1度の変革期にある。市場は、その牽引役がテスラだと判断しているのか。

   テスラの株価は2020年7月1日に1119ドルで取引を終え、時価総額は約2070億ドル(約22兆2300億円)に。トヨタの1日終値での時価総額は21兆7185億円で、これを上回った。株価はその後も続伸し、7月10日には1500ドルに乗せた。この1年でも、テスラの株価は6倍近くに急騰しており、1月に独フォルクスワーゲン(VW)を抜いて2位になった勢いのまま、一気にトップに躍り出た。

  • テスラの動向に注目が集まる(同社公式サイトより)
    テスラの動向に注目が集まる(同社公式サイトより)
  • テスラの動向に注目が集まる(同社公式サイトより)

2018年にはSECによる提訴騒動も

   コロナ禍のなか、各国中央銀行によるジャブジャブの金融緩和を受けて株式市場全体が金融相場の様相を呈して企業業績に必ずしも連動しない熱狂の中にあるとはいえ、その好調ぶりは他を圧する。

   テスラは2019年の販売(引き渡し)台数が約36万7500台で、EVメーカーとしては堂々のトップだが、ガソリン車を中心に世界で1074万台を販売したトヨタの30分の1と、規模では遠く及ばない。ただ、EV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を合わせた広義の電気自動車市場に限ると、トヨタは約6万台の12位にとどまっている。

   テスラは最近まで生産体制に不安を抱え、経営への不信が絶えなかった。その中で、2018年夏にはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターで、「非公開会社化を検討している」と、突然ツイートし、物議をかもした。四半期ごとの決算で市場に評価されること、つまり経営が安定しない中で株価が乱高下することにいら立っての発言だが、「資金は確保した」と言いながら具体的に説明せず、株式の非公開化という重要な経営情報の開示として問題化。高い生産目標の未達成が続いていることへの情報操作の疑いを含め、米証券取引委員会(SEC)がマスク氏を提訴する事態に発展。マスク氏は兼務していた会長を退任(CEOには留任)し、罰金2000万ドルで何とか事態を収めた。

コロナ禍の中では健闘

   2018年秋ごろは新型EV「モデル3」の量産がなかなかうまくいかず、資金繰り不安も浮上し、19年初めには人員削減にも踏み切るなど不安定な条項が続いた。ただ、このあたりが「底」で、秋には斬新なピックアップトラック「サイバートラック」を発表、中国・上海の工場も着工から1年足らずで稼働に漕ぎ着けるなど生産体制も整い、19年7~9月期から3期連続で黒字を計上した。20年4~6月期は赤字になりそうだが、世界販売台数は前年比5%減の9万650台と、コロナ禍の中では健闘している。

   とはいえ、テスラの20年12月期の販売目標は50万台で、トヨタなど1000万台級のトップ集団にははるかに及ばない。それでもテスラの株が買われるのはEVの将来性とともに、専業メーカーとしての強さと身軽さのためとみられている。

   トヨタやVWなどもEVに取り組むが、エンジン車を中心とする既存事業の規模が大きく、事業モデルをEV中心に転換していくにしても、時間がかかる。特に、エンジンという内燃機関をもつか持たないかの違いは月とスッポン。ガソリン車やディーゼル車に使われる部品数約3万点に対して、電気自動車はその約1万点にすぎず、膨大な下請け会社群といった「重荷」もテスラにはない。

   もちろん、現状ではEVの生産コストはガソリン車と比べて1台当たり100万円以上高いとされるが、専業として先行するテスラは部品の内製化などでのコスト削減に取り組んできている。特に大きいのがEVの基幹部品中の基幹部品である電池で、大手自動車メーカーの多くが外部から調達しているのに対し、テスラは米ネバダ州に巨大電池工場を持つなど、一歩も二歩も先を行く。コネクテッド(インターネットにつなげる)や自動化でも、他社に先駆けて機能を搭載するなど、フロントランナーの一角を占める。

各国の地球温暖化対策による影響

   もちろん、既存大手も手をこまねいているわけではない。高級車市場では独ダイムラーやBMWが相次いで新型EVを投入、VWは2025年に年間EV250万台生産という目標を掲げ、トヨタは20年6月にSUV「RAV4」のPHVを国内で発売し、今後、欧米でも売り出す計画――といった具合だ。これらのメーカーは資金力もある。

   もう一つ、EVは地球温暖化対策の一環で各国政府が進める普及政策にも大きく左右される面がある。EVを最重視していた中国は、EV販売に陰りが見える中で、トヨタなどが得意とするハイブリッド車などの低燃費車も優遇する方針を打ち出すなど、EV独り勝ちというほど、ことは単純ではない。

   足元、好調のテスラ株価だが、市場のテクニカルな要素もあるようだ。過去の経営状況が不振の時期にヘッジファンドなどが空売りを仕掛けていたが、「株価上昇で買い戻さざるを得なくなり、これが一段と株価を押し上げた面が小さくない」(市場関係者)と、過熱を指摘する声もある。

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