2020年 9月 23日 (水)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
共通通貨と、バラバラな財政政策... EU「コロナ復興基金」のアンバランスさ

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日本の「真水」財政政策との違いは...

   いずれにしても、コロナ危機の前に、メルケル首相も妥協し、EU債を基本原資とする復興基金ができた。それは一応歓迎すべきだが、筆者から見れば、財政政策は各国バラバラ、金融政策はほぼユーロで統一というアンバランスの欠陥を露呈している事例だ。

   日米で巨額の真水財政政策を出せている理由は、国債を発行しそれを中央銀行が買い取っているからだ。これは、マネー・プリンティング政策であるが、インフレ率が高くならなければ、国債の将来世代へのツケを心配する必要はない。俗な言葉だが、カネ刷って財源にしているわけで、国債の利払いや償還を後で税収により行うわけでないからだ。

   若干専門的にいえば、日米のコロナ対策の財政支出は、通貨発行益で賄うので、将来の国民への付け回しにならない。コロナでは、需要喪失が大きく、インフレにはなりにくいので、こうした財政政策と金融政策の合わせ技が可能になっている。それは中央銀行の通貨発行益が自動的に国の財政収入となるからだ。

   しかし、EUの場合、ユーロの中央銀行であるECB(欧州中央銀行)は、EUとは別組織であり、すべてのEU国がユーロを使っているわけでないので、通貨発行益をEU各国に取り込む仕組みが複雑だ。そもそも今回のEU債をECBが購入するかどうかはまだ決まっていない。

   EUもすべての国がユーロを使い、財政統合すれば、日米と同じようなことをできるはずだが、ともにその実現はそう簡単ではない。となると、EUは危機対応時にまたすったもんだするだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「FACTを基に日本を正しく読み解く方法」(扶桑社新書)、「明解 経済理論入門」(あさ出版)など。


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