2024年 4月 26日 (金)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
マスコミとYouTubeの「情報の質」 チャンネル開設で気付いた違い

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   のっけから、私事にわたることで恐縮だが、YouTubeで筆者のチャンネル「高橋洋一チャンネル」をはじめた。あるテレビ関係者と雑談をしていたら、それをYouTubeにのせたいというので、雑談そのままの内容で申しわけない気分だがやることにした。

  • 「高橋洋一チャンネル」を開設
    「高橋洋一チャンネル」を開設
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ワイドショーの奇妙な光景

   筆者は、ネット番組(文化人放送局、虎ノ門ニュースなど)で出演しているので、それらはYouTubeにのっている。長谷川幸洋さんとのNEWSチャンネルやニュー速通信社もある。さらに、昨今のコロナで、大学の講義がオンラインになっているので、講義の一部アーカイブは視聴者限定でYouTubeにのせている。

   それらをやっていて、広告主がテレビからネットに移動しているのは肌で感じていた。広告主から話を聞くと、これまで地上波TVで広告を流していたが、地上波TVの内容に物足りなさを感じその上で広告効果を考えてネットの可能性を見てみたいというのが多かった。冒頭のテレビ関係者も、ネットへの将来期待もあるので、筆者に話を持ちかけてくるのだろう。

   たとえば、今話題になっている日本学術会議で、地上波TVの報道はネットの周回遅れだ。たまたま地上波TVのお昼のワイドショーをみていたら、学術会議についてコメンテーターらが意見していた。ちょっと学問とは無縁な人ばかりで奇妙なことをいうなあと思っていたら、誰かがいつから任命するようになったの、と素朴ないい疑問を出した。しかし、誰もそれに答えられないのに、意見ばかりをいっていた。まことに奇妙な光景だった。

まずは「川を上り海を渡る」

   地上波TVで出ている人はマスコミが多いが、筆者のモットーとしている「川を上り海を渡る」こと、つまり過去の経緯を調べ海外の事例を知っておくことをサボっている人が多すぎる。このモットーは役人時代からの習慣であるが、その当時からマスコミの不勉強には閉口した。しかし、何も知らないのに、意見ばかりをいうので、新聞や地上波TVに飽きている人も多いだろう。筆者は役人時代、過去の経緯や海外の事例をマスコミに話していたが、今では自分でネット番組でいっている。

   先ほどのワイドショーの疑問について、日本学術会議法による任命の規定は1983年法改正でできた。その時の経緯をみれば、最近になって法解釈を変えたというより、当初から裁量的な任命はできたが、当初の法運用方針として推薦されたものを任命していたという理解になるだろう。さらに、欧米のアカデミーは、国の機関ではなく、2003年改革議論で、欧米型を目指して10年以内に改革すべきだったが、それを怠っていたこともわかる。そうした経緯の上で、今回の任用しなかったこともわかる。

   これだけで、新聞や地上波TVがたばになっても得られない情報が得られるだろう。これは、日本学術会議の問題に限らず、マスコミが提供するよりも質の高い情報が、ネットで提供でき、それがビジネスベースにのる、そういう時代になったのだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「FACTを基に日本を正しく読み解く方法」(扶桑社新書)、「国家の怠慢」(新潮新書、共著)など。


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