2024年 4月 26日 (金)

「この指とめよう」SNS誹謗中傷を減らすための啓発広告がCF達成 主催者に思いを聞く

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   SNSでの誹謗中傷を止めたい――広告・事業開発業の「The Breakthrough Company GO」(東京都港区)でコピーライターを務める小竹海広(おだけみひろ)さんが、SNSでの誹謗中傷を減らすための啓発広告「#この指とめよう」を渋谷に掲出するためのクラウドファンディングを立ち上げたのは、2020年10月下旬のことだ。この広告では「送信ボタンを押すなら、だれかの背中を押す言葉にしたい」、「誹謗中傷した人を罵倒するのも、誹謗中傷です」といったコピーが用いられ、投稿ボタンを押す前に相手について想像することが、誰かを救えるかもしれないと呼び掛けている。そして多くの人々が賛同し11月下旬、渋谷に広告を掲示するための予算を集めることができた。

   J-CASTニュースは2020年12月2日、主催の小竹さんに、クラウドファンディング達成の心境や今後の展開などについて取材した。

  • 小竹海広さん(2020年12月撮影)
    小竹海広さん(2020年12月撮影)
  • 「この活動を続けることが、支援してくださった皆様への最大の恩返しだ」と抱負を語る
    「この活動を続けることが、支援してくださった皆様への最大の恩返しだ」と抱負を語る
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  • 小竹海広さん(2020年12月撮影)
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「みんな」で取り組むことが出来るクラウドファンディング

   リアリティショー出演者や俳優への誹謗中傷が問題視されている中で、SNSの規制を検討する声や、人工知能などで特定の言葉を自動的に排除するべきではないかといった声も上がっている。

   小竹さんはSNSに関する痛ましい事件の数々に心を痛めながらも、規制を進める方向ではSNSの魅力も損なわれてしまうのではないかと考え、広告によってユーザー側の意識改革を行いたいと話す。行政発ではなく民間発で、誰かに強制されるのではなくユーザー自身が主体的に言葉を選んで欲しいという想いがある。 そして、今回のキャンペーンを「クラウドファンディング」で実施した理由についてはこう述べる。

「誹謗中傷っていう問題にどうやってコミットしていくかわからない人たちの受け皿になる可能性があると思ったのも、クラウドファンディングを出した理由です」

   小竹さんがそう思い立った背景には、「SNSのみんな、当事者」という考えがある。SNS上で起こっている誹謗中傷を見て見ぬふりをしてしまうのは、加担してしまうようなものではないか。しかし企業にはコンプライアンスやリスクがある中で誹謗中傷問題について取り組むのは難しい。そこで小竹さんはSNSを利用する、「みんな」で取り組むことが出来るクラウドファンディングを行うことにした。

誹謗中傷の的になりやすい著名人からも

   小竹さんは金銭的支援だけでなく、活動を周知させるリツイートやシェアなども大きな応援となったと振り返る。支援者の拡散によってインターネット上のインフルエンサーたちの目にもとまり、ウェブメディア「新R25」でもこの活動が特集された。さらには広告・配電事業を手掛ける「東電タウンプランニング」からは、目標である渋谷とは別の広告枠の提供を受け、クラウドファンディングの募集動画を配信した。

「東電タウンプランニングさんの『Hito-iki Vision』(広告枠)を無料で提供していただいて。その広告を直接見るだけじゃなくて、協力があって掲示できたことに(支援者)みんな驚いてくれて、そういう支援がすごくありがたかった」

   このほか「イングリウッド」、「reynato.tokyo」、「エビリー」、「NO WALLs」、「JUVENAGE」など、多数の企業からも応援が寄せられたという。

   その結果、クラウドファンディングには当初の予定の128%となる321万6386円が集まった。支援者の中には、誹謗中傷の被害者や、被害者になりやすい芸能人、漫画家、NPO代表、政治家、SNSインフルエンサーなどもいた。タレントの田村淳さんや、漫画「ちはやふる」作者の末次由紀さん、政治家の蓮舫さん、また「イラク日本人人質事件」で知られる今井紀明さんらが、このキャンペーンを応援した。小竹さんは、誹謗中傷の的になりやすい人々からも協力してもらうことで、実際に誹謗中傷の言葉を送ってしまう人の目にも届くことを期待している。

「批判と誹謗中傷は分けなくてはいけず、批判は必要というのは前提。ですけれども、(この取り組みが)人格攻撃みたいなことをしている人たちに届き、何が批判で何が誹謗中傷かを考える機会になることが重要だと思います」

「活動を続けることが恩返し」今後の展望は

   クラウドファンディングで達成した広告は現在、調整中で2021年1月以降に渋谷で公開予定だ。小竹さんは支援者に感謝しつつ、今後もこの活動を続けていきたいという。

「この活動を続けることが、支援してくださった皆様への最大の恩返しだと思っていて、なるべく長く続けていきたいです。誹謗中傷の声が『データとして減った』と言えるところまでやり切りたいと思っていますので、引き続きご支援よろしくお願いします」

   今後は、誹謗中傷があふれそうなタイミングで「#この指とめよう」に関するツイッタープロモーションを掲示するなど、活動を振り返るタイミングを設けることを検討している。さらに教育機関など官公庁とも連携していくことや、この活動を形に残したいという抱負も語った。

「SNSをどう使っていいかっていう明確な教科書とかルールブックがない状態なので、教育機関と連携して、Kindleなのか書籍化なのかホームページなのか、歌なのか...そういった形で残るものにしていきたいと思っていて。広告ってどうしても、掲載期間が終わると終わってしまうものではあるので、伝えたい人が持ち歩けるような何かを作りたいなという風に思っています」

   またこの活動はまだ第一弾であるとして、他の社会問題などにも働きかけていきたいと意気込む。そのためには多くの人に知ってもらうことが大切だとして、小竹さんはSNSでもメディアでも積極的な発信を続けている。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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