2021年 9月 19日 (日)

支援物資いりません...熱海市が「苦渋の決断」 背景には何が?市が明かす被災地の現状

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   土石流で大きな被害を受けた静岡県熱海市は2021年7月7日、寄せられる支援物資の受け入れを一時休止すると発表した。

   市の観光建設部の担当者は「心苦しい」と吐露する。なぜ、苦渋の決断となったのか。背景には送り手が思う「必要そうなもの」と「実際に必要なもの」とのギャップがあった。

  • 捜索活動がおこなわれている熱海市(2021年7月5日、写真:Abaca/アフロ)
    捜索活動がおこなわれている熱海市(2021年7月5日、写真:Abaca/アフロ)
  • 熱海市が出した「支援お断り」のお知らせ(熱海市公式サイトより)
    熱海市が出した「支援お断り」のお知らせ(熱海市公式サイトより)
  • 捜索活動がおこなわれている熱海市(2021年7月5日、写真:Abaca/アフロ)
  • 熱海市が出した「支援お断り」のお知らせ(熱海市公式サイトより)

「食事の提供も、飲料の提供も...」

「大変心苦しいところではありますが、一度支援物資のご提供(ご支援)をご遠慮させていただきます」
「みなさまからのご厚意をこのような形でご不快の念をおかけいたしまして、大変申し訳ございません」

   7月7日11時20分、熱海市は公式サイト上で「支援物資についてのお知らせ」と題した文書を掲載。市に寄せられる支援物資について、受け入れを一時休止するとした。

   理由の一つは「保管場所の確保困難」だ。熱海市の担当者によると、寄せられた物資は市役所の会議室に集めているものの、それが溜まっている状況にあるという。

   市は7月5日、生鮮食品や消費期限の近い食料品、使用済みの日用・衣料品など、一部物品の受け入れを断る「お知らせ」を公式サイト上に掲載。理由として、「食料品用の温度・湿度管理が行えない保管場所である」「膨大な業務を、限られたスタッフで実施している」などを挙げていた。

   ただ、受け入れを制限しても、会議室内の物資はなかなか減らなかった。多くの避難者が、設備の整った市内のホテルに滞在し、物品が消費されなかったためだ。今回物資の受け入れ休止を決めた、もう一つの理由でもある。

「食事の提供も、飲料の提供も、ホテルでしていただいております。今の段階で避難された方が必要としている物資は、ほとんどありません」(熱海市の担当者)

かさばるトイレットペーパー...保管スペースひっ迫

   国内屈指の温泉観光地として知られる熱海市。市内にあるホテルが、被災者たちの受け皿となった。

   学校の体育館や集会所で身を寄せ合い、炊き出しを待つ――。東日本大震災(11年)や熊本地震(16年)などの大規模災害時、テレビのニュースで伝えられてきた、被災者たちの姿だ。プライバシーが確保され、飲食も提供される熱海の避難生活とは、大きく異なる。

   そんな従来の避難生活とのギャップもあってか、支援物資が届けられても、うまく活用されないケースが熱海では生じた。例えば7月5日に生鮮食品の受け入れ休止を発表する前には、ネギやじゃがいも、にんじんといった野菜類が寄せられていたという。

「『災害が起これば、避難所で炊き出しをやるだろう。ならば、野菜が必要かもしれない』ということで、(野菜を)お送りいただいたのだと思います。ただ、食事は(ホテル避難なので)心配がいらない。また、今は湿気も高く、野菜が傷みやすい時期です。心苦しいんですけれども...処分させていただかざるを得ない状況です」(同担当者)

   食品以外では、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、マットレスや毛布などの寝具も多く寄せられた。

「お送りいただいた方は、(一般的な被災地の)『避難生活』をイメージされたのだと思います。(これまでの被災地では)学校のトイレ、仮設トイレで『トイレットペーパーがなくなっちゃった』というケースがあったと思うんですけれど...今回は(ホテル生活のため)必要がありませんでした」(同担当者)

   特に、大量に寄せられたトイレットペーパーやティッシュペーパーは他の物品と比べてかさばることもあり、保管スペースをひっ迫。物資の受け入れ休止につながる一因になってしまったという。

「そのとき、そのときに必要なものが出てくる」

   ただ、届けられたすべての物資が不必要だったわけではない。今は充足していて、新たな支援の必要はないが、水やお茶、機能性飲料など「飲み物」は助かったという。

「自衛隊や消防、警察など総勢1000人以上の方々が、行方不明者の捜索活動をしていただいている。非常に暑く、湿度が高い状況ですので、そういう方々ののどを潤すために、飲料は非常に重宝しております」

   今後は、避難者の生活再建も待っている。「家に戻ったとしても、(今度は)生活必需品の不足が想定されます。(今は必要がない)トイレットペーパーも必要になるかもしれませんし、家の周りを片付けるのに、スコップであったり、汚れたものを整理する雑巾、軍手など...もしかしたらそういうものが必要になってくるのかな、とは思います」(市の担当者)。市は今後の復旧・復興状況に応じ、新たな物資支援の呼びかけを検討しているという。

   取材の最後、担当者はこんな思いを口にした。

「全国から、温かい励ましの言葉とともに、ご支援をしたいという声をいただいております。現状では(物資が)充足しているということもあって、お気持ちだけはありがたくいただきたいなと思います。熱海の街は観光地です。多くの方々を迎え入れる、賑わいのある街であることが、一番いいことであります。そのとき、そのときに必要なものが出てくると思っております。我々のほうも、『今、何が足りないのか』を(随時)発信させていただきたいと思います。その際はご協力いただき、熱海の復興に力をお貸し願えればと思います」

(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)

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