2024年 4月 27日 (土)

「墨」を消滅危機から守りたい...クラファン230万円の大盛況 逆風のコロナ禍、立ち上がった職人の奮闘

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

活動資金の調達と認知度向上のために

   クラウドファンディングを実施した理由について、長野さんはこう話す。

取材に応じた墨匠・長野睦さん
取材に応じた墨匠・長野睦さん
「クラウドファンディングを実施した理由の1つは、墨を普及するための活動資金が必要だったからです。普及活動としては学校でのオンライン授業に取り組んでいますが、これはボランティアです。若い人にアプローチをしない限り需要は伸びていきませんし、これを商売にするのは何か違うと思っています。
このような墨の普及活動の資金は、本業である墨づくりと観光体験事業から捻出していますが、コロナで厳しくなっています」

   またクラウドファンディングはSNSとの親和性が高いという。クラウドファンディングやSNSを通して、インターネット上に墨の現状を広めることを狙いとした。

   そして2021年6月25日、「『奈良墨』の危機 1000年以上続く文化と伝統を守りたい!」と題したプロジェクトを公開した。目標金額は28万円。しかし目標額は半日で達成され、7月13日までに229万5千円が寄せられた。

   どうやら長野さんの知人や書道関係者から徐々に広まっていったようで、このクラウドファンディングをきっかけに「また書道をやりたい」「興味を持った」といった声も寄せられ、支援は現在も伸び続けている。

   長野さんは「想像をはるかに超えている」と驚き、「潜在的にも書道人口はいるんだ」と希望を持った。

「クラウドファンディングの記事の中身は公式サイトにも載っていることですが、墨業界のこれまでの状況や何とかしていきたいという思いを、まとめて拡散できる点が良かったのかもしれません。
今回のクラウドファンディングは、まず墨業界について知ってもらえるきっかけになればと思います。そして、知ってくださった方に使ってもらえるように、さらにその先に繋がる活動を続けていきたいです。需要さえ増えれば後継者も現れるはずです」

   長野さんは、墨に興味を持ってくれた人が公式サイトの閲覧や、墨づくり体験など直接的な交流に繋がっていってくれたら嬉しいと話す。また墨業界のために、錦光園の墨でなくても実際に墨に触れてもらいたいと話す。

   クラウドファンディングは7月25日午前11時まで実施予定。オンライン墨づくり体験や「香り墨Asuka」をリターンとして得られる支援コースも用意している。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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