2024年 4月 23日 (火)

「シェフ直伝!チーズケーキレシピ」に乳業協会が警鐘 牛乳パックのオーブン加熱NG、紹介メディアが謝罪

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   牛乳パックをチーズケーキの型に使ってオーブンで焼く調理を紹介する動画などがツイッターに投稿されたが、危険性が相次いで削除され、投稿会社が「認識不足もあった」と謝罪した。

   牛乳パックを使うことには、どんな問題があるのだろうか。公式サイトで注意喚起している日本乳業協会に取材した。

  • テイストメイドジャパンの公式ツイッター
    テイストメイドジャパンの公式ツイッター
  • 牛乳パックで加熱と紹介していた(現在は削除)
    牛乳パックで加熱と紹介していた(現在は削除)
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  • 牛乳パックで加熱と紹介していた(現在は削除)

ラミネートされたポリエチレンが、100℃超で溶け始める

   「シェフ直伝!混ぜて焼くだけ絶品チーズケーキの作り方」。動画などは、こんなタイトルを付け、食や旅をテーマにしているライフスタイルメディア「テイストメイドジャパン」の公式ツイッターで2022年4月6日に投稿された。

   投稿によると、チーズケーキの材料をボウルですべて混ぜ合わせて、まず牛乳パックに流し込む。そして、150度のオーブンで20分焼き、常温に戻してから冷蔵庫で冷やし、お好みで砂糖をふりかければチーズケーキが簡単に出来上がるという。

   作り方の手順を写真にして、「しっとりトロトロ、お家でミシュランの味を再現できます」とツイッターでPRしていた。ユーチューブには、フレンチレストランのシェフがその作り方を伝授する動画も投稿された。

   この投稿に対し、「ダーリンは外国人」シリーズの作品で知られる漫画家の小栗左多里さんが7日、ツイッターで疑問を呈した。日本乳業協会から注意喚起が出ているとして、公式サイトの「乳と乳製品のQ&A」ページを紹介し、「牛乳パックをオーブンに入れちゃダメです」と訴えた。

   協会のQ&Aでは、「牛乳パックをケーキの型として使用してもよいですか?」との質問に対し、「牛乳パックを加熱することは本来の目的とは異なる使用方法ですので、おやめください」とあった。その理由として、「牛乳パックは耐水性、保形性を保つために紙にポリエチレンをラミネートしています。ポリエチレンは、85~95℃でやわらなくなり、100℃を超えると溶け始めます」とした。「オーブンで焼いた場合、その温度は100℃を超えますので、ケーキ型の代わりに牛乳パックを使用することは避けてください」と呼びかけている。

「食品でないものがチーズケーキに付着してしまう」

   牛乳パックを加熱する危険性を指摘した小栗さんの投稿は、大きな反響を呼んで、4000件以上もリツイートされている。騒ぎになったためか、4月8日になって、テイストメイドジャパンのツイートが削除され、ユーチューブ動画が非公開になった。

   日本乳業協会の環境部長は8日、牛乳パックの加熱について、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

「牛乳パックは、防水性や抗菌性を担保するため、紙の内側と外側にポリエチレンをコーティングしています。オーブンに入れて100度以上になれば、その樹脂が溶けてしまい、食品でないものがチーズケーキに付着します。ポリエチレンは、食品衛生法で認められた安全な素材で、体内に入っても害はほとんどないとされています。しかし、ビニールの成分であって食品ではありませんので、付着するのは好ましくないでしょう」

   テイストメイドジャパンの投稿については、こう話した。

「牛乳パックは、手軽な容器だと思って、深く考えずに加熱してしまう人もいるようです。シェフの方がご承知でなかったのは残念ですが、今後は注意していただければと思っています」

   なお、牛乳パックをオーブンに入れても、150度ぐらいなら燃えることはないのではないかとした。パックが発火するのは、数百度になってからだとしている。

「弊社の認識不足もあり、視聴者の皆様からご指摘」

   テイストメイドは、米ロサンゼルスで2012年に設立され、ニュースリリースによると、全世界の月間視聴者数は2億5000万人で、再生回数は30億回超に上る。日本法人は16年に設立され、日本オリジナルコンテンツの制作・配信サービスを行っている。国内のSNSフォロワーは計800万に上るという。

   テイストメイドジャパンは、8日夕になって、「『混ぜて焼くだけ絶品チーズケーキの作り方』の動画に関するお詫び」と題して謝罪文を出した。

   そこでは、「弊社の認識不足もあり、牛乳パックをオーブンで加熱する点について視聴者の皆様からご指摘を頂戴しました」としたうえで、「既に当該動画・静止画を含む投稿は削除しておりますが、視聴者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今後同様の事態が生じないよう、再発防止に努め、細心の注意を払ってアカウント運営を行ってまいります」などとつづった。追って公式サイト上でも、こうした内容を掲載するとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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