2024年 5月 7日 (火)

リアルすぎるロボットは嫌われる? 過去には「死者への冒涜」批判も...ネット反応に見た「境界線」

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   ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第60回をお送りします。今回のテーマは「ロボットとAI」についてです。

   皆さんはファミレスで「ネコ型配膳ロボット」を見たことはあるでしょうか。導入する店舗が増えていることもあってか、見た人がTwitterに写真やエピソードを投稿して拡散されるケースをよく目にします。

Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>

   配膳ロボットに限らず、最新技術で作られたロボットやAIについての話題はTwitterの人気ジャンルです。人々の心を惹きつける理由を探ってみましょう。

  • 話題になったネコ型配膳ロボット(Pudu Robotics社のプレスリリースより)
    話題になったネコ型配膳ロボット(Pudu Robotics社のプレスリリースより)
  • 話題になったネコ型配膳ロボット(Pudu Robotics社のプレスリリースより)

お店の集客にも貢献する愛らしさ

   話題になっているネコ型配膳ロボットは、中国Pudu Robotic社製の「BellaBot」という機体です。ネコの顔を模したデザインになっているだけでなく、人との交流も意識して設計されているとのこと。

   Twitterでは、ラストオーダー後の店内でネコ型配膳ロボットがすやすやと寝ている様子や、充電が足りなくなったときに「充電!してに゛ゃあぁぁあ!!!」と叫んでいたといった、愛らしいエピソードが人気です。

<ラストオーダー後のサイゼリヤで、配膳係のネコ型ロボットがこんな表情をしてて可愛すぎた「この店員さん目当てに通い詰めそう」- Togetter>

<ガストのネコ型配膳ロボット「もうダメにゃん...充電足りないにゃん...」→「充電!!してに゛ゃあぁぁあ!!」- Togetter>

   「このロボットを見るためにお店に行きたい」という反応も多く、このロボットが配膳という本来の役割以上の貢献ぶりを見せていることがうかがえます。

ロボットに生き物のような愛着を感じる人が多い

   ロボットやAIが身近な存在となり、日常生活の中で触れる機会も増えてきた結果、生き物のように愛着を感じる人も多いみたいです。

   例えばあるTwitterユーザーが、お掃除ロボット「ルンバ」を屋外で動かした様子の動画を投稿して大きな反響を呼びました。動画には、芝生の上を高速で走り回るルンバと、それを見てはしゃぐお子さんが映っています。

<壊れたルンバを修理して外に連れ出してみた→「はしゃいでる」「速すぎワロタ」- Togetter>

   投稿を見た人からは「機械なのに喜んでるように見える」「ロボットが家族に?なんてSF、案外すぐ実現しそう」との感想が集まりました。

   人の音声に反応してさまざまなサービスを提供する「AIアシスタント端末」に関するバズも豊富です。

   あるTwitterユーザーがAmazon製の「Alexa(アレクサ)」に「お風呂入ってくるね」と声をかけたところ、「はい、どうぞごゆっくり」と家族のような返事が。持ち主は「34年間追い続けた幸せが手に入った」と言うほど心揺さぶられたご様子。

<アレクサを購入した方「34年間追い続けた幸せが2180円で手に入った事に気付き、その場で泣き崩れてしまった」その理由がこちら- Togetter>

   このように人々がロボットやAIを生き物のように扱うのは、生物・無機物を問わず全ての物の中に魂が宿っている「アニミズム」という考え方から来ているのでは、という考察も盛り上がりました。

<配膳ロボットに思わず「ご苦労様」と言ってしまったが、この行動はアニミズムによるものなのだろうか?という議論- Togetter>

   本来無機物であるAIやロボットに対して親しみを感じ、その様子が拡散される背景には、文化的土壌の影響が大きくかかわっているのかもしれません。

リアルすぎるAIやロボットは議論を呼ぶことも

   ロボットやAIに親しみを持つ一方で、そのクオリティがリアル過ぎると、かえって嫌悪感を抱いてしまうという事例もあります。この心理現象は「不気味の谷」と言われ、Twitterではたびたび議論のネタにあがります。

   2019年に最新のAI技術で制作された「AI美空ひばり」が発表された時は、本物そっくりのクオリティに驚く声だけでなく、「死者への冒涜では」という批判も出ました。

<山下達郎さん「AI美空ひばりは冒涜」→これをきっかけに、AI美空ひばりに対する賛否、中立や「ボカロ初期を連想」など様々な声- Togetter>

   また、埼玉県深谷市の「旧渋沢邸」で渋沢栄一のアンドロイドを見たTwitterユーザーからは「見た目が明らかに人間なのに、人間ではないと理解した時に来る気味悪さ」という感想が。

<渋沢栄一のアンドロイドを生で見た人の感想『見た目が明らかに人間なのに、人間ではないと理解した時に来る気味悪さ』- Togetter>

   ロボットやAIを近しい存在として受け入れる気持ちがあるいっぽうで、リアルすぎると拒否反応を示してしまう矛盾に、生身の人間の複雑さを感じます。

完璧よりも、少し抜けているほうが受け入れやすい?

   「ロボット・AI」が話題になりやすい理由をまとめると、次の3つです。

・人との関わりのエピソードとともに拡散される
・ロボットに対して生き物のように接する土壌がある
・倫理的な話題など、議論も盛り上がりやすい

   ポンコツな一面もあるネコ型配膳ロボットや、適度な温度感のAIアシスタントなど、最新技術は適度に完璧すぎないほうが人の生活に溶け込みやすいのかもしれません。

   以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。

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