鬼滅の偽衣装販売...「桜の恋」書類送検に業界騒然 コスプレイヤーへの影響は?弁護士はルール整備の必要訴え

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「桜の恋」が書類送検、何が問題視されたのか。

   22年6月22日、コスプレ衣装を販売していた楽栄(横浜市)が著作権法違反と商標法違反の疑いで書類送検されたと、複数メディアで報じられた。

   押収されたのは、人気アニメ「エヴァンゲリオン」に登場する架空のパイロットスーツ「プラグスーツ」、「鬼滅の刃」の一部キャラクターが着用している羽織、「東京リベンジャーズ」の主人公らが所属する不良集団「東京卍會」の文字が描かれた特攻服などの非正規品だった。

   同社はインターネット上のコスプレ衣装販売店「桜の恋」を運営し、ソーシャルゲームやアイドル作品を中心としたキャラクター衣装を販売。中国などから輸入した再現度の高いコスプレ衣装を多数取り扱っており、コスプレイヤーの間でも知名度が高かった。

   多くのコスプレイヤーは衣装を自作するか、既製品を改良するか、「桜の恋」のようなコスプレ衣装販売店もしくは趣味で制作した人たちから衣装を購入している。楽栄の報道を受けて、ツイッターの一部では「コスプレ界隈どうなっちゃうの...」「衣装屋が全滅したら...終わり」など不安の声も上がった。

   渥美弁護士は、一般的なキャラクターの服装について「コスプレ衣装そのものが著作権を侵害する場合は多くない」とする。同事務所の松永成高弁護士がこう補足する。

「コスプレ衣装から想起される特定の作品やキャラクターの服装がありふれたものであれば、そもそも著作物として保護されず、著作権を侵害することもありません。仮に、作品中の服装に著作物性が認められたとしても、特撮作品のような場合はともかく、平面から立体に起こすことで表現上の特徴が損なわれることも多いのではないでしょうか。
著作権法が守るのは漫画のコマやアニメのシーンに現れた具体的な『表現』であり、抽象的な『キャラクター』を形作る属性や要素ではありません。コスプレ衣装が属性や要素の組合せによって特定のキャラクターを想起させたとしても、それは、著作権の問題ではありません」

   例えば趣味で制作したセーラー戦士の衣装を頒布する場合は、「一般的な制服のような形状であるため、著作権侵害に該当する可能性は低い」と渥美弁護士は話す。服だけでは著作物として保護できるような創作性の高さが認められにくいためとしている。

   それでは楽栄はなぜ「著作権法違反」と見なされたのか。渥美弁護士は「エヴァンゲリオンのプラグスーツは芸術性が高いため、それの再現度が高い衣装の販売が問題視されたのではないか」と考察する。

   さらにプラグスーツは、公式に許諾を得た衣装が約55万円から受注販売されていた。桜の恋では2万7500円で販売されており、著作関係者が利益を損なった可能性もある。

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