2024年 5月 20日 (月)

加速する宇宙ビジネス「次の50年を制するのはどの国?」...福島は「宇宙産業」の街になれるか/「福島イノベ構想」活躍4社トップが語る未来

提供:公益財団法人 福島イノベーション・コースト構想推進機構

サプライチェーンをつくるためにも、地元企業との「つながり」が重要

トークセッションでファシリテーターをつとめた、若井洋さん(福島ロボットテストフィールド副所長)/「2023年度、国際的なアカデミアの拠点『福島国際研究教育機構(F-REI=エフレイ)』が浜通り等地域の双葉郡浪江町に設立されました。研究開発活動はより活発化していくと思います」
トークセッションでファシリテーターをつとめた、若井洋さん(福島ロボットテストフィールド副所長)/「2023年度、国際的なアカデミアの拠点『福島国際研究教育機構(F-REI=エフレイ)』が浜通り等地域の双葉郡浪江町に設立されました。研究開発活動はより活発化していくと思います」

   それぞれに特色を持つ4社のプレゼン後、若井洋さん(福島ロボットテストフィールド副所長)を交えてのトークセッションでは、福島での「産業化」が話題の中心となった。

   マッハコーポレーション・赤塚さんが投げかけたのは、自身が海外で宇宙事業に携わった経験を踏まえた、企業間の「連携」の重要性だ。

「アメリカの場合、メッシュという言い方をしますが、中小企業やベンチャー企業がまとまって、ときに大企業に対抗して取り組むなど、企業間の横のつながりが強いのです。それと同様に、福島でも(産業化に向けて)企業間の横のつながりを深めていくことが重要です」

   話を受けて、ElevationSpace・小林さんは「浜通り地域はモノづくりの面で強みがある」としたうえで、こう続けた。

「サプライチェーンをつくるために、地元企業のみなさんとのかかわりが重要になる局面がこれから絶対にきます。それだけに、地元企業とのコミュニティをいかにつくるかがこれからの課題でしょうね」
(左から)若井さん、AstroX・小田さん、ElevationSpace・小林さん
(左から)若井さん、AstroX・小田さん、ElevationSpace・小林さん

   地域を巻き込む取組は欠かせない――大熊ダイヤモンドデバイス・星川さんも同じ指摘だ。

「廃炉という実需が生まれた福島でいまこそ産業集積を行い、リスクをとり、スピード感を上げて産業化を進めていく必要がある。さらに大事なのは、まずマーケットを一巡させることで、強力な推進体制も必要だと思います」

   そこでAstroX・小田さんは、「たとえば特区のようなものがあるといい」とアイデアを披露した。

「産業をつくるには人・モノ・カネの観点にくわえ、法的な問題も関係するのでは。たとえば、人工衛星/ロケットの打ち上げには、さまざまな申請などが必要です。仮に特区が実現し、この区域なら1つの申請で済むとなれば、興味を持つ企業がさらに集まるし、それに紐づくかたちでおカネもついてくるかもしれません」

   異なる分野や業界が力を合わせ、地元企業とつながり、強固なサプライチェーンが築かれれば、浜通り地域が「宇宙の街」として、存在感を発揮できるはずだ。福島から世界へ――「未来」はここから生まれていく。

   福島でしかできないフロンティア分野への挑戦に向け、福島イノベーション・コースト構想推進機構(福島イノベ機構) 事務局長の蘆田和也さんは、企業に対する力強いサポートを強調した。

福島イノベ機構 事務局長 蘆田和也さん/「今回の発表会では、日本を盛り上げる元気な取組が進み、挑戦心をもった元気な人たちが、さらなる元気を生み出している――そんな事例をお伝えできてよかったです」
福島イノベ機構 事務局長 蘆田和也さん/「今回の発表会では、日本を盛り上げる元気な取組が進み、挑戦心をもった元気な人たちが、さらなる元気を生み出している――そんな事例をお伝えできてよかったです」
「福島イノベーション・コースト構想は息の長い取り組みです。廃炉も含め長期的なスパンで考える課題もあるなか、ミッションである地域の産業の再構築を促していきたい。浜通り地域で活躍したい事業者がもっと集まり、地元企業との連携も進むよう、私たちは今後もあらゆるチャレンジをサポートしていきます」

   最後に、大熊ダイヤモンドデバイス・星川さんのこんなメッセージで締めくくろう。

「ディープテックに携わるみなさんの思いとして共通するのは、ロマンなんですよね。人生で一度は世界を救ってみたい――真剣にそう思っている人たちが『福島イノベ構想』には集まってきています。同じように熱い思いを持つ若い人は、一度、浜通り地域に来てほしいと思います」

※※※

   福島イノベーション・コースト構想の実現に向けて、企業立地、起業、研究活動などにおけるさまざまな支援制度がある。たとえば福島県は、「令和6年度 地域復興実用化開発等促進事業費補助金」を通じて、実用化開発などを支援。支援金額は、1プロジェクトあたり最大7億円。現在、申請募集中で、詳しくはウェブサイトまで(申請締切:3月25日)。

   また、よりアーリーステージのスタートアップ向けには、専門業者によるアイデアの具現化や試作品開発の資金支援などを含む、起業支援プログラム「Fukushima Tech Create」を用意。令和6年度の新規参加者募集は、4月頃からを予定している。詳しくはウェブサイトまで。


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