2024年 4月 30日 (火)

アニメ界「月間225時間以上労働」5割、「年収240万円以下」4割 業界からは「全てが悪循環」

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   アニメ業界の5割が月間225時間以上働き、約4割が年収240万円以下だった――。日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)が、こんな調査結果を2024年3月27日に発表した。

   労働時間や収入面で厳しい状況がある。一方、「今後もアニメ業界で働きたいと思いますか」の問いに対し、約7割が「そう思う」「強くそう思う」と回答している。NAFCAとアニメーターに取材し、詳しく聞いた。

   アニメーターで原画担当の河村美里(仮名)さんは、業界の現状を「全体的に余裕がなく、下の世代から技術が崩れていっています」と取材に話す。また、NAFCA事務局長で声優の福宮あやのさんも「全てが悪い循環になっています」と指摘。今回の調査結果で浮き彫りになった業界の一番の課題とは。

  • 「長時間労働」「低賃金」のアニメ業界(写真はイメージ)
    「長時間労働」「低賃金」のアニメ業界(写真はイメージ)
  • 声優を除くアニメ業界従事者の平均月間労働時間の分布(同連盟のプレスリリースより)
    声優を除くアニメ業界従事者の平均月間労働時間の分布(同連盟のプレスリリースより)
  • 声優を除くアニメ業界従事者のアニメ関連月収の分布(同連盟のプレスリリースより)
    声優を除くアニメ業界従事者のアニメ関連月収の分布(同連盟のプレスリリースより)
  • 声優を除くアニメ業界従事者の時給換算値(同連盟のプレスリリースより)
    声優を除くアニメ業界従事者の時給換算値(同連盟のプレスリリースより)
  • 「今後もアニメ業界で働き続けたいと思うか」の回答(同連盟のプレスリリースより)
    「今後もアニメ業界で働き続けたいと思うか」の回答(同連盟のプレスリリースより)
  • 「長時間労働」「低賃金」のアニメ業界(写真はイメージ)
  • 声優を除くアニメ業界従事者の平均月間労働時間の分布(同連盟のプレスリリースより)
  • 声優を除くアニメ業界従事者のアニメ関連月収の分布(同連盟のプレスリリースより)
  • 声優を除くアニメ業界従事者の時給換算値(同連盟のプレスリリースより)
  • 「今後もアニメ業界で働き続けたいと思うか」の回答(同連盟のプレスリリースより)

「異常とも言える」長時間労働

   厚生労働省の2023年度調査によれば、一般労働者の平均月間労働時間は163.5時間。NAFCAの調査では、アニメ業界の5割が月間225時間以上労働。NAFCAは「非常に長いことは言うまでもなく、異常とも言える」とコメントしている。

   また、業界の37.7%がアニメ関係からの仕事が年収240万円以下と分かった。業界以外の仕事に従事していない人は77.6%にのぼり、4人に1人程度は年収240万円以下で生活している結果になった。

   NAFCA事務局長の福宮さんは、若い世代のアニメーターの人材育成に手が回っていない点が問題だと、J-CASTニュースBizの取材に説明する。熟練した技術をもつベテラン層が長時間働かざるを得ない状況を、こう説明する。

「現場は人手不足なので、スケジュールやアニメーターを管理する制作進行が、『アニメの画を描けそうな人』をSNSでスカウトする状況です。でも一枚絵は描けても、アニメの画は立体感なども考えて描く必要があります。技術不足の人から上がってくる多くの素材を上位行程の人にリテイクしてもらわなければならず、さらに当然ですが両者に報酬を払わなくてはならず、時間もお金も無駄になってしまっています」

   現状では全てを修正しなくてはいけない素材も多い。ベテラン層は修正に時間を奪われ、使えない素材は別の人間への再発注をかけることもあり支払いが増える。

   アニメ制作会社が知的財産(IP)を基本的に持っていないことも、業界の低収入に繋がる問題だ。一般的には、テレビ局や出版社などが組成する製作委員会がIPを所有。制作会社は、製作委員会から支払われた制作費を原資に映像を作るが、その後DVDを含むアニメグッズなどが売れても制作会社に利益配分されることはほとんどない。

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