イオンは2025年12月22日、首都圏と近畿圏のスーパーマーケット(SM)事業を再編すると発表した。
2026年3月1日付で首都圏に新生「イオンフードスタイル」、近畿圏に新生「ダイエー」を始動させ、グループの「連邦制経営」を見直す大胆な戦略転換に踏み切る。
背景には、オーケーやトライアルといった格安チェーンの台頭と、物価高が続く中での競争激化がある。国内スーパーマーケット市場は今、仁義なき戦いの時代に突入している。
首都圏126店舗を「イオンフードスタイル」に統合
イオンは首都圏のSM事業を再編し、「イオンフードスタイル」を創設する。これは、イオン子会社であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)傘下のマックスバリュ関東が、ダイエーの関東事業とイオンマーケットを統合するかたちで誕生する。
新会社は首都圏に126店舗を展開し、東京都23区内の店舗数は58店舗(全体の約46%)、東京都全体は82店舗(全体の約65%)となる。都心部に集中した店舗網を活かし、生鮮・デリカ強化や自社開発、産地調達、製造体制の構築を進める。
この統合により20~24億円のコスト削減効果を見込んでおり、イオンフードスタイルは2030年度の売上高2400億円を目指す。2026年度には20店舗強のリニューアルも計画しており、積極的な店舗刷新も並行して進める方針だ。
近畿圏187店舗、新生「ダイエー」として再出発
近畿圏では、ダイエーと同社子会社・光洋が合併し、新生「ダイエー」として再出発する。187店舗のうち、106店舗が神戸市・大阪市・大阪府北摂・三島エリアに立地しており、本社を東京から創業の地である大阪に移転する。
新生ダイエーは、サプライチェーン改革やスクラップ&ビルドを加速させ、15~20億円のコスト削減を図る。2030年度の売上高3300億円を目標に掲げる。
合併に先立ちダイエーと光洋は2025年3月から「ダイエーグルメ シティ住道店」にて両社の強みを融合した活性化の実験を行っており、再オープンから12月までの累計で売上が前年比135%の伸びを記録するなど、刷新効果が表れている。
格安チェーンの台頭と「連邦制経営」の限界?
イオンが今回の大規模再編に踏み切った背景には、格安スーパーの台頭がある。
神奈川県を拠点として関東を商圏としてきたオーケーは、関西進出を加速させている。2026年度には大阪府に7店舗を出店する計画だ。
また、九州に地盤を持つトライアルホールディングスは2025年7月に西友を完全子会社化(買収額約3800億円)し、首都圏への本格進出を果たした。
これまでイオンは、各地域の傘下企業に自主性を持たせる「連邦制経営」を採用してきたが、格安チェーンとの競争激化により、エリア別の統合と共同調達・システム共通化を進める方針に転換したとみられる。
若年層取り込みと人材確保への取り組み
イオンは、デジタル化と売り場改革も並行して進めている。
イオンは「イオンお買物アプリ」など売上増に向けたアプリ活用施策を積極的に展開しており、アプリ会員数は1400万超にも上る。また、ヘルス&ビューティーケア売り場「グラムビューティーク」のリニューアルを進めるなど、若年層の取り込みに向けた売り場改革も進めている。
人材確保の面では、2023年2月に非正規社員の待遇を正社員並みにする改革を発表し、話題となった。 今後の国内スーパーマーケット市場で勝敗を分けるのは、価格競争力だけではない。店舗立地、デジタル化、そして「お客さまに選ばれる理由」の創出が鍵を握る。
イオンの大規模再編は、その第一歩にすぎない。格安チェーンとの競争がいっそう激しくなる中、各社の戦略がどう展開していくのか、注目が集まる。