SANAE TOKENに石破茂氏も...インフルエンサーに悪用される大物政治家 「防ぎようがない」と専門家、それでもできる自衛策は

   2026年3月上旬、高市早苗首相の名前を冠した仮想通貨「SANAE TOKEN(サナエトークン)」が問題になった。さらに、暴露系インフルエンサー「DEATHDOL NOTE(デスドルノート)」創設者が、石破茂前首相とのツーショットとともに対談したと投稿。後に「正式な取材や対談の場」ではなかったと釈明した。

   著名政治家がインフルエンサーに顔や名前を利用されるケースが立て続けに起きているが、専門家は著名人の顔や名前が勝手に使われることは「防ぎようがない」とする。そのうえで、自衛のためにできることとは――。

  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
    高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • Xアカウント「DEATHDOL NOTE」(@DEATHDOL_NOTE)より(現在は削除)
    Xアカウント「DEATHDOL NOTE」(@DEATHDOL_NOTE)より(現在は削除)
  • 三崎優太氏のX(@misakism13)より
    三崎優太氏のX(@misakism13)より
  • SANAE TOKEN公式サイトより
    SANAE TOKEN公式サイトより
  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • Xアカウント「DEATHDOL NOTE」(@DEATHDOL_NOTE)より(現在は削除)
  • 三崎優太氏のX(@misakism13)より
  • SANAE TOKEN公式サイトより

石破茂氏事務所「もうどなたがどなたかもわからない」

   「SANAE TOKEN」をめぐっては、実業家の溝口勇児氏が手掛けるプロジェクト「NoBorder DAO」内で発行された。溝口氏は、「実は高市さんサイドとはコミュニケーションを取らせていただいてて」などと話す動画をXに投稿していたほか、高市氏の「公認後援会」を名乗るXアカウントが賛同する投稿をしていた。

   しかし、高市氏が3月2日にXで関与を否定。「公認後援会」も、暗号資産だとは聞いていなかったとして、賛同の投稿を削除した。

   また、デスドルノート創設者の「磨童まさを」氏は2月25日、石破氏と「会食」すると予告。3月12日には石破氏との写真を投稿。「いじめ撲滅委員会」と称していじめによる暴力動画の投稿・拡散なども行う磨童氏は、石破氏と「いじめ問題について対談」したとも伝えた。

   しかし、石破氏の事務所は13日のJ-CASTニュースの取材に、事前の約束も会食もしていないと明かした。石破氏本人から聞いた話として、別件の取材場所に訪れたところ、「若い方が10人20人いらっしゃって、次々と『写真を撮ってください』という状態だったとのことです。本人としては、もうどなたがどなたかもわからない(状態だった)」とした。

   磨童氏はその後、「正式な取材や対談の場ではなく、私の表現が結果として実態以上の印象を与えてしまいました」として謝罪し投稿を削除。しばらくの間活動を自粛するとした。

   また、元「青汁王子」こと実業家の三崎優太氏も3月12日、石破氏とのツーショットとともに、「この国のエネルギー自給率はたった12%、僕がでんき0を始めた理由は、まさにここにある」と、自身の事業に絡めた内容を投稿した。

   石破氏の事務所はJ-CASTニュースの取材に対して、三崎氏についても、事前に約束はしておらず、写真撮影を求めてきた1人だったとしている。

   SANAE TOKENの例も石破氏の写真の例も、著名な政治家がインフルエンサーにその名前を利用されたとみられる。こうした事案を防ぐために、政治家の側はどのようなことに気を付けるべきなのだろうか。

「そうした情報を鵜呑みにしてしまう人は、私はおそらく永遠にいると」

   危機管理コミュニケーションの専門家の東北大学特任教授・増沢隆太氏はJ-CASTニュースの取材に、政治家などの著名人がその顔や名前を悪用される例は昔からあり、これからも出てくるだろうと指摘する。

「今時、政治家がいるから、有名人がいるからというだけで信用してしまう――どれだけリテラシーが低いんだと思われます。しかし、そうした情報を鵜呑みにしてしまう人は、私はおそらく永遠にいると思うんですよ。どれだけテクノロジーが進んでも、時代が変わったとしても、犯罪かどうかは別にして、(著名人の顔や名前の)不適切な使用というのは、今後もあるだろうと思われます」

   そのため、政治家の写真が勝手に使われるようなことは「防ぎようがない」という。

   増沢氏は、政治家や著名人ができる対策として、「危険人物に近づかないでください」と呼びかける。政治家からSNSの危機管理サポートを依頼された際には、炎上しやすい人とメディアに出るとリスクがあることを伝えるという。

   しかし、「写真を勝手に使われる」以上のこと、例えばSANAE TOKENのように商品名に名前を冠したり、政治家が「推薦」しているなどと流布されるようなことがあれば、明確に関与を否定しないと責任が発生してしまうとした。

   さらに増沢氏は、関与していると疑われる「証拠」を残さないことが重要だとも指摘する。

「例えば『高市早苗』の名前で推薦状を書かれたら、これは言い逃れできない。しかし証拠はなく、『勝手に使われた』だけであれば、今はさすがに理解が得られます。ディープフェイクで本人の動画まで作れてしまうわけですから。『そんなことはやっていません、認めていません』と言えるのであればいいですが、もし実際に関係者が関与してしまったとしたら、名前を使われた政治家など本人に責任が及ぶ重大なことになります」

   SANAE TOKENを公式サイトに高市氏のイラストが掲載されていたほか、「公認後援会」を名乗るアカウントが一度は賛同していた。増沢氏は、「首相の関係者の方が絡んでいたとしたら、あまりにも迂闊です。それを首相本人にも言わずに勝手にやったのだとしたら、首相にまで責任が波及しかねない大きなミスです」と評する。

はびこる不適切な情報...「あくまで自分を守るのは自分」

   増沢氏も指摘するように、政治家など著名人の顔や名前の不適切な利用がなくならないのは、こうした情報を信じて宣伝を真に受けてしまう、受け手側のリテラシーの問題でもある。

   SNSを中心に情報があふれる今、こうした情報を鵜吞みにしないリテラシーを身に着けるためにするべきことは――。

   増沢氏は、フェイクニュースや捏造的な切り抜き動画を含むSNSの情報が政治や選挙にまで影響を与えている現在の状況に触れ、「いずれ法規制されるのではないか」と推測する。

   しかし、「あくまで自分を守るのは自分」とする。そのためにできることは、学校や会社などの組織が、「所属している人たちに少しでもダメージがないように教育、啓発をしていくことが大切」とした。

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