東京圏の鉄道車両は、ステンレスを使用して、金属面をむき出しにしている車両が多い。ステンレスの車体に、路線やどの鉄道会社化を示すカラーを貼り付けている場合がほとんどだ。
私鉄ではかなり前からステンレス車両を導入しており、多くの沿線住民から親しまれてきた。
一方、JR東日本ではどうか。
ステンレス車両がJR東日本で普及したのは1990年代
1985年に山手線で205系が導入され、ステンレス車が首都圏で目立ち始めた。JR東日本各線には同様の車両が増えていった。
205系は表面がデコボコしており、古い印象を与える車両になっている。
いまのように表面がつるりとしたステンレス車両がJR東日本で本格的に普及し始めたのは、1993年4月から京浜東北線で本格投入された209系からである。30年以上も前に、つるりとした車体の通勤電車がJR東日本の首都圏エリアを走るようになった。
税法上、電車の減価償却期間は13年である。13年も使えば、資産価値はゼロになる。いまふうの車両でも、すでに資産価値がゼロになり、長期間走っている車両も、けっこうある。
長期にわたって活躍し続けるE231系
たとえば、武蔵野線では、209系500番台が使用されている。もともと中央・総武緩行線で使用されていたもので、10両編成から8両編成に短縮し、黄色い帯をオレンジに変えて走行している。1998年に導入されたこの車両は、武蔵野線に2010年に転属した。
JR東日本の場合、ある路線で走っていた車両が、多少形を変えて別の路線で走るということは、結構多い。編成を短くしたり、車体を改造したりして、車両を大切に使う。さすがに余剰が出た車両は廃車にする。減価償却が済んでいるから問題はないのだ。
2000年に本格的に登場したE231系は、いまなお現役で都心部を走っている。中央・総武緩行線ではこの車両がメインである。また、常磐快速線でもこの車両が取手までの直流電化区間で使用されている。
上野東京ラインや湘南新宿ラインでは、グリーン車を連結したE231系が長い年月にわたって走行し続けている。上野東京ラインがなかった時代、東北本線・高崎線方面に登場した際にはグリーン車はなかったが、2004年10月からグリーン車が連結されるようになった。
E231系は山手線にも投入されていたが、その車両は中央・総武緩行線に転籍し、いまに至っている。
経年が異なる車両が同じ編成にある中央快速線
オレンジ色の帯が巻かれている中央快速線のE233系は、2006年12月に投入された。いまから20年も前の車両で、車内を見ると座席がくたびれている印象がある。当初は10両編成、あるいは6両プラス4両の編成で、とにかく都心部ではトータル10両ひとまとまりで走っていたことになる。
この体制でこのままいくのだろうと思われたが、2015年2月に中央線快速にグリーン車を導入する計画が発表される。このころは、2020年度に開始する予定だった。
その後、2018年4月にはサービス開始の延期を発表、さらにコロナ禍などによる半導体不足などで車両の製造に影響があり、開始したのは2025年3月のことだった。
製造された時期に大きな差がある車両が、ひとつの編成の中に入っているという面白い現象が、中央快速線では起こっている。
車両ができた時期は、車内の車両番号の個所に掲示
山手線のE235系も、2015年には使用が開始され、すでに10年ものキャリアを持っている。山手線は車両が余り気味であり、一部の車両では緑の部分を黄色に変えて、中央・総武緩行線に転属しようとしている。
自動車では10年も走れば結構古いものになるが、鉄道ではまだ新しい部類に入る。
同じ会社の中でメインの路線からサブの路線に移行したり、他社に譲渡されたりして、車両は長く使われる。鉄道車両が長持ちするからこうしたことができるのだ。
都心でも、中央・総武緩行線や武蔵野線では、実は意外と古い車両が使用されている。さらに地方に行くと、JR東日本でも1990年代製造の車両が使用されていることが多い。
ちなみに、車両ができた時期は、車内の車両番号の箇所に一緒に掲示されている。これを見て、車両のすごした年月に思いをはせてほしい。
(小林拓矢)
【プロフィール】
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。