「走る必然性」を前面に打ち出す人選が続く
ところが2023年、系列局・日本海テレビの元幹部社員による募金着服問題が発覚し、番組への批判が一気に噴出。以降、制作側の姿勢は明らかに変わった。2024年は児童養護施設出身のやす子さん、2025年は弟が施設で育ったSUPER EIGHTの横山裕さん、そして今年は難病の娘を持つ星野真里さんと、「走る必然性」を前面に打ち出す人選が続いている。
ただ、批判をかわす手法こそ変わったものの、感動の物語でチャリティーへの疑念を塗り替える構造は何も変わっていない。むしろ今後は、つらい生い立ちや家族の苦難を抱えた芸能人を毎年探し続けることが既定路線となりかねない。チャリティーの看板を守るために当事者の痛みを利用し続けるとすれば、それは本来の意義とはかけ離れた、本末転倒な番組存続術と言わざるを得ない。
一方、星野さん個人への批判は少なく、難病の子を持つ母として社会の壁と向き合い続けてきた姿勢には共感が集まっている印象だ。だが、その純粋な動機が「批判かわしの材料」として制作スタッフに消費されている一面を忘れてはいけない。視聴者は温かい眼差しと、冷静な目で、8月29日から30日を見続ける必要がある。
(川瀬孝雄)