車内に広がるビールの匂いに「怒る気力もなくなった」
混雑した車内では、こぼれたビールが床を伝い、周囲の乗客も足元を気にするようになった。どよめきが起きたものの、男性は頑なに無言を貫いたという。
「文句を言おうかとも思いました。でも、疲れていたこともあって、何を言えばよいのか分からなくなっていました」
バッグには、ビールの匂いが染みついていた。
「お気に入りのバッグだったのでショックでした。汚れよりも、謝罪すらなかったことが一番引っかかっています」
結局、佐藤さんは次の電車へ乗り換え、気落ちしたまま帰宅した。
「あの日以来、公共の場でお酒を持っている人を見ると身構えるようになりました」
混雑時は思わぬ事態につながることもある。万が一、周囲の人に迷惑をかけてしまった場合は、まず謝罪し、状況に応じて対応することが、公共交通機関を利用するうえで欠かせないマナーだろう。