米国シカゴ出身という外国人ユーチューバーの若い男が、かつて炭鉱で栄えた長崎市内の島「池島」で廃墟のようになった病院や団地、民家に次々侵入する様子を仲間と撮った動画を投稿し、批判が相次いでいる。
旧病院の土地所有者は、「入る許可を出していない」と取材に説明しており、不法侵入したとみられている。池島を管轄する長崎県警の時津署は、「今後、通報があれば、捜査に入るかもしれない」と取材に話している。
上がり込んだ民家では、4人で食事も始める
「廃墟のように見えるかい?」。茶髪の若い白人の男が、古びた民家の中に窓を開けて入ると、仲間の男にこう確認した。外は雨が降っており、男は、レインウェアを上に着ていた。
民家の台所には、食器などが棚に多数並べられていたが、長く使われていないのか、雑然としている。
「すごい見た目だ」「俺は怖い」。男は、日本語で「こんにちは」と声を出し、誰もいないことを確かめると、どんどん中に入っていく。「ここでしばらく避難しよう」。男は、仲間に伝え、後から来た別の男2人にも、玄関のドアを開けて招き入れる。
家の中は、カビが生えているといい、ゴミも散乱していた。壁には、2014年のカレンダーが貼ってあり、「これは12年間放置されていた」と漏らす。男は、食事を始めようと仲間に呼びかけ、畳の部屋なので靴を脱ぐように伝えてから、4人で食事を始めた。
この映像は、ユーチューバーの男が26年8月4日、自らのチャンネルに投稿した動画の1シーンだ。チャンネルでは、世界各国で廃墟などを探索する動画を投稿しており、登録者は140万人以上と一定の人気はあるらしい。
映像部分は、8日になって、X上で取り上げられ、投稿者は、非常識だと男らの行為を批判した。この映像は、不法侵入だとして炎上状態になっている。
男が投稿した動画は、50分ほどあり、池島にフェリーで仲間と上陸してから、旧病院などを探索するシーンなどが映っていた。
「何の連絡もなく、許可は出していません」
池島は、かつて栄えた産業遺産の池島炭鉱跡が残り、「第二の軍艦島」とも呼ばれている。炭鉱は、01年に閉山し、それ以来人口が激減して、現在は80人余りが住んでいる。
ユーチューバーの男らは、旧病院の探索が主目的だったらしく、そのシーンが動画の半分ぐらいを占めている。
それを見ると、割れたとみられる窓から男らが院内に入り、各診察室などを次々と回っていた。机の上には、朽ちたパソコンやプリンターの残骸があるなど、長い間使われていないことが分かる。
薬品が入っていたとみられるビンが散乱し、03年のカレンダーがあった。男らは、歯科の診察室に入ると、「福島みたい」と声を上げた。なお、24年には、福島県内でも男らが不法侵入していたと騒ぎになっていた。歯のレントゲン写真などを手に取るなどした後、今度は、手術室へ移った。男らは、手術台に横になって、悪ふざけをしていた。
動画では、男らは他にも、潰れた他の民家や廃墟になった団地内の部屋に入ったりもしていた。
旧病院の土地を所有する地元企業は8月10日、J-CASTニュースの取材に対し、「何の連絡もなく、許可は出していません。カギは閉めており、誰かが入ることも想定していません」と困惑した様子をみせた。
池島に事務所がある長崎市の外海地域センターは同日、動画は把握しているとしたうえで、こう答えた。
「今回の行動に対し、民家などに立ち入らないよう英語の注意書きをフェリー待合所や公共施設に貼り出しました。また、池島の自治会でも、家のカギをかけるよう島民に注意を呼びかけるチラシを作って配ったと聞いています」
長崎県警の時津署は同日、「通報や情報提供はなく、今回初めて聞きました。今後、住民などから通報があれば、捜査に入るかもしれません」と取材に説明した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)