高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 高市首相は広島・長崎と批判されたが...非核三原則「持ち込ませず」見直すべき理由

「核の傘」に頼りながら「持ち込ませず」という矛盾

   実はこの点に、日本の矛盾が出てくる。アメリカの核の傘の中で、非核三原則を唱えている。しかも、非核三原則で持ち込ませずなのに、どうやって核の傘が機能するのか。

   非同盟の欧州3か国は、欧州の中で自国のみが核の脅威にならないという前提がある。

   北大西洋条約機構(NATO)の3か国はNATOの核の傘がある。韓国もかつてアメリカの戦術核があったので制度的制約はない。ニュージーランドは同盟国が事実上オーストラリアで持ち込ませずなので、核の傘はない。ただし、地理的な関係で今直ちに脅威があるわけでない。

   しかし、日本は、周辺に核保有国が三つもある危険地帯だ。これから出てくる論理的な帰結は、アメリカの核の傘を十分に機能させるには、少なくとも持ち込ませずという非核三原則の一部の見直しから始め、その次にはNATOと似たような核シェアリングの議論が必要だ。そうした戦争を回避すらための議論なしで、いたずらに戦争の悲惨さだけをいっても有益でない。

   ちなみに日本では、この時期になると、核兵器禁止条約を批准せよとの意見が出る。しかし、アメリカとNATOとの同盟を組む国で、核の傘を放棄するに等しい。そんな意見は当然ない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはしよういち)元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。

1 2
姉妹サイト