東京都港区で行われた「麻布十番納涼まつり」で食中毒症状を訴える人が相次いだ問題で、屋台の「冷やし蟹ラーメン」が発生元と保健所が断定し、食中毒の原因はどこにあるのか関心を集めている。
保健所の調べで、蟹ラーメンを食べて体調不良を訴える人は、2026年9月3日時点で103グループ、166人に上り、規模の大きな問題に発展している。
保健所「きちんと捨てたのか確認できていません」
みなと保健所が同日、公式サイト上で発表したところによると、確認された患者78人のうち、複数の患者の便からサルモネラ属菌を検出した。また、調理などをした複数の従事者からも同菌が出ている。共通の食事は蟹ラーメンしかなく、保健所では、発生元と特定した。
蟹ラーメンは、日本料理店「割烹こめを」が店内で調理して、8月22、23日の祭り期間に店の前のテントで販売していた。保健所では、同店に対し、3日から7日間の営業停止処分にした。
統括料理長のこめおさん(31)も同日、自らのXを更新し、保健所から食中毒の発生元とされたとして、「本当に申し訳ございませんでした」などと謝罪した。営業停止後の再開時期は未定で、「一度、営業を休止し今回の事と1から向き合います」としている。
今回の問題では、こめおさんが祭り初日に、雨による中止で700食余ったと明かしたことから、翌日に使い回したのではないかとの指摘が出ていた。これに対し、こめおさんは8月28日、「22日に余った商品を、23日の販売に使用した事実はありません」と明確に否定している。
みなと保健所の生活衛生課は9月4日、J-CASTニュースの取材に答え、26日に店へ立ち入り検査に入ったとき、聞き取り調査で「雨で中止になって、食材はどうしたのか?」と質問したという。すると、店側は、「22日に余ったのを全部廃棄しました」と説明した。このことについて、保健所では、「廃棄先まで確認できませんでしたので、きちんと捨てたのか確認できていません」と取材に話した。
調理者の手から汚染の可能性もあるが、原因は分からず
それでは、一体どんな原因があって、大規模な食中毒が発生したのだろうか。
サルモネラ属菌による食中毒について、衛生関係者からは、通常の衛生管理をしていたら防ぐのは難しくないとの指摘がネット上で出ている。
さらに驚く声が上がっているのは、細菌のプレジオモナスが患者や従事者の便から検出されていることだ。プレジオモナスは淡水の魚介類に見られ、一方のサルモネラ属菌は鶏や豚などの動物の腸管に多いとされている。
こうした違った種類の菌が見つかる状態とは、一体どんな衛生管理が行われていたのかと疑問を投げかける関係者もいた。なお、患者の便からは、下痢原性大腸菌や黄色ブドウ球菌も検出されている。拭き取りでも、黄色ブドウ球菌が見つかった。
真偽ははっきりしないが、様々な食材を触った調理者の手などが原因ではないかとの声も出ている。こうした点について、みなと保健所では、取材にこう話した。
「サルモネラ属菌とプレジオモナスの2つの菌が検出されるのは、珍しくはありません。手などが原因の可能性もありますが、食材にいた可能性などもあります。感染経路については、菌がどこから来たのかは、まだ分かっていません」
屋台では、直前に火を使う焼きそばなどは販売できるが、冷やしは取り扱えないことになっている。しかし今回のケースでは、店内で調理して店の前のテントで販売するという形を取っており、冷やしの取り扱いは必ずしも適用できないようだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)