多くの人が鉄道・バスの乗車に、そしてお買い物などに当たり前のように使っている交通系ICカード。最初に「Suica」が登場したのは、2001年11月。ICカードに券売機で現金をチャージし、それを自動改札機にかざして改札を通る。そんな未来っぽい仕組みが導入されてから、25周年となる。
当時は磁気券を利用する人や、磁気プリペイド式のイオカード(JR東日本のみ)、あるいはパスネット(関東の私鉄や地下鉄など)を利用していた。
いずれも、自動改札機の中に物体を通し、それにより改札を通過するという仕組みだった。一般的な乗り方をする人はみな、改札機に何かを通さなければならなかった。
その状況が、Suicaの登場により一変した。
交通系ICカードはほかの交通事業者にも広がる
しばらくはJR東日本のみだったが、2007年3月に私鉄や地下鉄で使用できる「PASMO」という交通系ICカードが登場した。あわせて、首都圏で交通系ICカードの相互利用サービスが始まった。
これは交通系ICカードにとっては非常に大きかった。磁気プリペイド式カードがJRと私鉄・地下鉄に分かれていたのに対し、SuicaやPASMOが相互に利用できることで、利便性は格段に高まった。
JRと地下鉄の相互乗り入れ箇所でも交通系ICカードを利用できることで、近距離なら紙のきっぷを使う必要性がなくなった。使い切りのプリペイドカードを大量に作っておく必要も消えた。
いっぽう、関西など各地で交通系ICカードの利用が開始され、それぞれの交通系ICカードが各地で相互利用できるようになり、2013年3月には交通系ICカード全国相互利用サービスが開始された。主要な鉄道なら、どこでも交通系ICカードが利用できるようになったのだ。
Suicaは日本にキャッシュレスを普及させた
Suicaは当初、きっぷやイオカードの代替物として登場した。だが2004年3月にはSuicaに電子マネーの機能を持たせ、駅構内の売店などで使用できるように。さらには、街中のお店などでも使用できるようになった。
コンビニエンスストアなどでの少額の支払いなど、レジでタッチすることで簡単に済ますことができるようになり、利便性は向上した。
2000年代の終わりころから、「キャッシュレス社会」ということがさかんに言われるようになった。そんな中で、Suicaを中心とする交通系ICカードは、キャッシュレス社会の担い手として大きく注目を集めるようになった。
そして、いまやスマートフォンに交通系ICカードが搭載できるようになり、物理的なカードの必要性もなくなった。
Suicaは、鉄道利用の方法を大きく変え、多くの人が簡単に、便利に鉄道を利用できるようにした。あわせて、キャッシュレス社会への変化を大きく牽引する役割を果たした。
いつもいた「Suicaのペンギン」
発展し続け、多くの人のライフスタイルを変えたSuica。そのSuicaの傍らには、「Suicaのペンギン」がいつもいた。
2001年にSuicaが誕生したとき、イラストレーターの坂崎千春さんのキャラクター・ペンギンを使用したものだ。その独特の愛くるしさが、多くの人の支持を集めた。
「Suicaのペンギン」はSuicaカードにも印刷され、認知度向上や利用促進に貢献したが、2027年3月で「卒業」を迎えることとなった。キャッシュレス社会をつくったSuicaの傍らにいた「Suicaのペンギン」、ありがとう。
「Suicaのペンギン」の後任として、現在、「リス」、「ウサギ」、「モグラをポシェットに入れた生き物」の3つの候補が公開されており、投票を受け付けている。
(小林拓矢)
【プロフィール】
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。