米Appleが2026年9月9日(現地時間)、初の折りたたみ式iPhone「iPhoneDuo」を発表した。満を持しての発表に期待の声が上がった一方、日本では36万円を超える価格に「高すぎる」と驚く人も続出している。折りたたみスマートフォンはサムスン電子などが長らく力を入れてきたものの、いまだ市場全体では少数派だ。圧倒的なブランド力を持つAppleの参入で一気に普及するとの予測もあるが、それでも売れなければニッチな機種という印象が強まり、折りたたみスマホが早くも「オワコン化」する恐れがある。最上位モデルは57万4800円「iPhoneDuo」は本のように開くタイプで、閉じた状態では5.4インチ、開けばiPhone史上最大となる7.6インチの大画面を使える。A20Proチップを搭載し、複数のアプリを並べて使えるなど、大画面を生かした機能が特徴。発売予定日は10月23日だ。消費者を何より驚かせたのが価格だ。256GBモデルは36万4800円、512GBは39万9800円、1TBは46万9800円。最上位の2TBになると57万4800円に達する。発表後、SNS上では、折りたたみ式ならではの大画面に「欲しい」「タブレットとしても使えそう」「ロマンがある」と興味を示す声が上がった。その一方で、「36万超えエグい」「うちの冷蔵庫より高い」「57万円のスマホなんて持ってたら襲われそう」といった悲鳴も続出した。実機の映像に対して、「画面の折り目やシワが気になる」と指摘する声もあった。サムスンが8世代投入、それでも市場は1%台折りたたみスマホは決して新しいジャンルではない。サムスンは19年の初代「GalaxyFold」以来、改良を重ね、26年までに8世代を投入。ファーウェイやモトローラ、Googleなども参入してきた。しかし、いまだに大ヒット機種は出ていない。MM総研が8月12日付で発表した調査結果によると、25年の世界の折りたたみスマホ出荷台数は1720万台。スマホ全体の12億2500万台に対して、わずか1.4%だった。日本国内でも25年度は33.4万台で、全体の1.1%にとどまる。メーカー別ではサムスンが世界41.3%、日本67.7%のシェアで首位を占めている。トップメーカーが市場を長く開拓しても、折りたたみスマホは「ニッチ」の域を抜け出せていないわけだ。そこに登場したのがAppleだ。MM総研は「iPhoneDuo」の投入を織り込み、日本の折りたたみスマホ市場が26年度に前年度比約2.3倍の76万台、27年度には102万台まで拡大すると予測している。ただ、業界の期待度とは裏腹に、消費者は冷ややかだ。同社が15~69歳の男女1084人を対象に行った調査では、折りたたみスマホを使ったことがない人のうち「購入したい」は10.0%にすぎず、「購入したくない」と答えた人は48.1%に上った。買いたくない理由のトップは「折りたたみのメリットがわからない」が41.7%で最多。続いて「端末価格が高い」「故障しやすい」「サイズが大きい・重い」などが挙がった。「Appleなら必ず売れる」とは限らないAppleの参入が折りたたみスマホの定着につながるとも限らない。例えば20年に登場したiPhoneの小型モデル「iPhone12mini」は売り上げが振るわず、翌年にも「13mini」が投入されたものの、22年の「iPhone14」シリーズでminiは姿を消した。コアな支持層はいたものの、小型モデルは市場として実らなかった。折りたたみスマホの歴史にも象徴的な出来事がある。18年末に世界初の折りたたみスマホ「FlexPai」を発売した中国のRoyole(ロヨル)は、その後経営が行き詰まり、24年に破産を宣告された。ジャンルの先駆者ですら成功できなかった。Appleの参入は、折りたたみスマホ市場にとって最大級の追い風になるだろう。だが、36万円超という価格を払ってでも「折りたたみ式が欲しい」と、多くの消費者に思わせられるかどうか。もし「iPhoneDuo」の売り上げが低調となれば、「折りたたみスマホは一部のコアユーザー向け」というイメージが固定され、市場に致命的なブレーキをかける危険性もある。今回のApple参入の成否は、折りたたみスマホが本格的に普及するのか、それとも「オワコン」化へ向かうのかを占う分水嶺になりそうだ。
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