シンガー・ソングライターのさだまさしさん(74)が2026年9月15日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。650曲以上を世に送り出し、デビューから半世紀を超えても精力的に創作とコンサートを続けるさださん。会見では、AI(人工知能)が作る音楽の価値や、現代社会で深刻化する孤独との向き合い方について、時折笑いを交えながら持論を語った。偶然に優れたものはできるが「クオリティーを守り続けるのは、とても無理」パソコンやAIの普及によって音楽制作のハードルが下がる中、音楽や音楽家の価値はどう変化するのか。記者から投げかけられた問いに、さださんは少し間を置き、「シブい質問ですね~」。そして、「AIに音楽を作らせますとね、結構いいの作るんですよ。ただ、そこに哲学はない」と続けた。3歳からクラシックバイオリンを学んだ経験から、「人間の出す音が好き」だという。現在のレコーディングでもコンピューターは使うが、「コンピューター任せの音作り」はしない。AIが偶然、優れた作品を生み出す可能性は認める一方、「そのクオリティーを守り続けるのは、とても無理」だとみる。同じ方向を見据えて創作を続けることは、人間にしかできないとの考えだ。特に歌では、音だけでなく言葉を伝える必要がある。そのためには学び続ける姿勢が求められるとして、「僕らが歌を作るというのは、ただ音楽作品を作るということにプラスして、文学と哲学が必要になってくる。非常に勉強しないと追い込まれますね。ですから毎日勉強しています」と語った。ただ、人間とAIが対立する未来を想定しているわけでもない。「人間のことだから、AIと共同作業でいいものが作っていけるようになると信じています。でも、イニシアチブは人間が持ってないとダメだと思います」さださんが「今一番問題だと思っている」と指摘したのが、著作権や知的所有権の扱いだ。AIが音楽を作る際には、多数の既存作品が「ひな形」になる。その中のどの楽曲の、どの部分を利用したのかが明らかにならなければ、元の作品が持つ権利が曖昧になってしまうと指摘した。「いろんなものをまとめてきて、いいとこだけつないでやっていきますけど、つなぐのは最終的には人間がやりますから。コンピューターのせいにして知的所有権を曖昧にするのは、人間の悪いところだと思います」と、AIを利用する人間側の責任を強調した。孤独でつらければ「さだまさしコンサートに来て」会見では、社会問題になっている孤独や孤立から一歩踏み出すにはどうすればいいか、さださんの曲から1曲薦めるなら何か、とも問われた。さださんは、まずユーモアを交えてこう答えた。「ちょっとお金はかかりますけども、孤独でつらかったら、さだまさしコンサートに来てください。同じような境遇の人がいっぱい座ってますから。みんな仲良くなれますよ」さださんの歌の基本にあるテーマは「命」「時間」「心」。いずれも、自分の意思だけでは自由にできないものだ。その上で、自分は誰の人生も否定したくない、「生きるということを肯定したい」と語った。さらに、「お釈迦様は『人生は苦しい』ということを発見した人」で、「『あ、苦しくて普通なんだ』と救われた人たちが仏教というものの入口に立つ」と前置きした上で、「さだまさしが発見しましたのはですね、人生を肯定していくと、みんな孤独だってことですよ。孤独でない人なんか1人もいない」と説いた。現代人は「あれもない、これもない」と、「引き算」によって自分を追い詰めがちだとして、「マイナスじゃなくてプラスに考えていった方が楽しいじゃない」「本当の孤独というのは元々のものだから、あまり深く考えない方がいいですね。深く考えると死にたくなりますもんね。どうせ死ぬんだから。そんなに頑張らなくてもすぐ死にますから」と呼びかけた。年齢を重ね、「人生って短い」と実感するようになった。小説や歌にしたいテーマは数え切れないほど残っているが、それを形にする時間は減っていく。一方、53年間にわたって観客がコンサートに足を運び続けているため、ステージをやめるわけにもいかないという。コンサートで時間を取られて創作時間が削られるのが現在の一番の悩みだとしながら、「うれしい悩みですけどね」と笑顔を見せた。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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