「経営者の都合を優先して報告書がまとめられるという指摘」
この日、第1回口頭弁論後に行われた会見で記者からは「(角川氏に責任をかぶせて)会社を守ろうとしたのか」との問いかけもあった。企業の設置する調査委員会では、経営者の都合や意図を優先して報告書がまとめられるという指摘もあるためだ。これについて郷原弁護士は「そこまではないが、(夏野社長が)この問題に早く決着を付けて経営していこうという考えがあったのでは」との見方を述べた。
不祥事対応での調査では、日本弁護士会連合会策定のガイドラインに基づいた第三者委員会のほか、特別調査委員会など様々な名称や形態がある。責任問題への言及も様々で、今年3月に公表されたニデックの会計不正に関する第三者委員会の報告書では「最も責めを負うべきなのは、永守氏である」と創業者で社長・会長を務めた永守重信氏の責任にふれている。刑法など具体的な記述はないが、会見で記者から問われる形で第三者委員会側が「有価証券報告書の虚偽記載に当たる」と述べる場面があった。
また、昨年3月に公表されたフジテレビの性加害問題を調べた第三者委員会の調査報告書では、コーポレート・ガバナンスの問題にも数多く言及し、実力者だった日枝久氏がグループの役員人事に強い影響力を持っていたという支配構造に踏み込んだが、経営陣に対する具体的な責任追及には深く踏み込まなかった。
KADOKAWAのガバナンス検証委員会が贈賄リスクにふれたことに「あそこまで踏み込んでいいのかと読んで感じた」(企業法務に詳しい弁護士の一人)との声もある。
(経済ジャーナリスト 加藤裕則)