愛知・名古屋アジア大会で行われた野球競技の試合中に、「Taiwan」と書かれたタオルで応援しようとしてスタッフから制止され、そのことに台湾ファンらが抗議する騒ぎがあった。
政治的なメッセージと判断されたとみられるが、一体なぜなのだろうか。大会組織委に取材して、その見解を聞いた。
「アジア大会で台湾っていう言葉は使わない」
「Taiwan」と胸に書かれたTシャツを着た若い女性が、大会のルールでは、中華民国の名前使用がダメのはずなのに、なぜ台湾の地名を使うのはいけないのかと、男性スタッフに日本語で詰め寄る。
この動画は、2026年9月25日に行われた野球のチャイニーズ・タイペイ(中華台北)-中国戦で、台湾応援席付近でやり取りされたシーンだとされる。台湾は、アジア大会では、中華民国ではなくチャイニーズ・タイペイ名義で参加している。
「じゃあ、今Taiwanと書いても、そのまま大丈夫ですか?」
女性がこう聞くと、スタッフは、即座に否定した。
「いや、アジア大会で台湾っていう言葉は使わないことになっている」
女性は納得せず、「なんで?」と問いただすと、スタッフは、「そのように決まっているので」と説明した。これに対し、女性は、「じゃあ、香港はどうですか?」と食い下がる。さらに、「中国の国旗だって、政治のもの。あれも撤収して下さい」と中国応援席を指差した。
「いや、あれは認められていますので。日本の旗と中国の旗」(男性スタッフ)
しかし、女性は納得せず、自らの主張を繰り返す。すると、台湾応援席から「オイ、どうして?」とスタッフへの抗議が出て、「台湾OK! 台湾OK!」とはやし立てる。
一方、スタッフは、女性のTシャツを指差し、「実は、この服も、本当は政治的な...」と説明し始める。女性が「なんで? なんで?」と反論すると、応援席からは、「チーム台湾! チーム台湾!」と女性へのエールが送られていた。
この動画は、X上で大きな話題になり、女性に対する同情の声が多く寄せられている。
「他のお客さまとのトラブルを避けるため」と説明
X上では他にも、このトラブルを撮ったとみられる動画や写真がいくつか取り上げられている。そこでは、愛知県警の警察官がこの女性に問いかける様子が映ったシーンもあった。
台湾メディアによると、チャイニーズ・タイペイ-中国戦の試合後半、台湾ファンが「Taiwan」と書かれたタオルを応援で掲げたところ、政治的メッセージを含むグッズの持ち込み禁止を定めた大会規定に違反しているとスタッフから制止されたという。
「Taiwan」タオルを使った応援について、スタッフが制止したというのは事実なのだろうか。
この点について、大会組織委の報道課は9月28日、J-CASTニュースの取材に対し、こう認めた。
「現場の係員が、参加するNOC名以外の国名・地域名を記載した応援タオルの掲示を控えていただくようお願いしたものと聞いております」
組織委としては、会場内での禁止行為として「参加していない国の国旗を掲げること」を挙げていると説明したが、今回、「Taiwan」タオルをNGとした理由については、こう述べた。
「他のお客さまとのトラブルを避け、全てのお客様に安心してご観戦いただけるよう、掲示を控えていただくようお願いしたものと聞いております」
中国応援席とのトラブルを避けるため、チャイニーズ・タイペイ名義以外の掲示についてはスタッフの判断で制止したというのが実情のようだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)