沖縄県で女性が殺害され、米海兵隊員が強盗殺人容疑で逮捕された事件を受け、2026年10月5日夜、東京・永田町の首相官邸前で抗議集会が開かれた。主催者発表で250人が参加し、繰り返される米軍関係者の事件への対策や、沖縄の基地負担の軽減、基地の撤去を求めた。
沖縄県選挙区選出の高良沙哉(たから・さちか)参院議員(無所属)は、高市早苗首相が同日の所信表明演説の冒頭で事件に触れたこと自体は評価。一方、綱紀粛正を求めるだけでは被害を防げていないとして、「もうこれ以上の犠牲はたくさんです」と訴えた。
「日本本土の人たちは他人事ではないか」
集会は、亡くなった39歳の女性への黙祷から始まった。高良氏は、前日の4日に沖縄で開かれた緊急集会に参加したことを報告。そこでは
「沖縄の私たちが何度も何度もそうやって尊厳を踏みにじられていることに対して、日本本土の人たちは他人事ではないか」
といった訴えがあったことを紹介し、沖縄では住民が軍隊の「凶暴性」と隣り合わせで暮らしていると指摘した。
高市氏が演説で事件に言及したことについては、
「そのこと自体はこれまでになかったことで、私は評価したいと思う」
と述べた。しかし、何度も犠牲者が出ているのに、効果のない綱紀粛正の要求が繰り返され、日米地位協定も改定されていないと批判した。
「軍事優先の社会は人権を守らない。平時にもこうやって度々に犠牲者が出るような安全保障策は、私は間違っていると思う」
基地の過重負担と「軍事偏重」を見直す必要があると主張する一方、一人の女性が被害に遭った事件として、事実の究明と、日本人が起こした事件と同等に米兵が裁かれることを要求。「もうこれ以上の犠牲はたくさんです」とした。
「哀悼の意を表するだけでは足りない」
社民党の福島瑞穂党首も、「綱紀粛正ではダメです。何回綱紀粛正すると言ったんですか?」と続けた。高市氏の演説については「哀悼の意を表するだけでは足りないんじゃないですか」と指摘。地位協定の見直しを進めてこなかった政治の責任を訴えた。
共産党の辰巳孝太郎衆院議員は、高市氏が演説で「平和は願うだけでは実現しない」と述べたことを、軍備増強や日米安保体制を正当化する発言だと批判。その上で、
「沖縄の安全も『綱紀粛正』というだけでは実現しないのではないか」
と訴えた。
「新しい知事がヘラヘラと語っていた」、取材対応の姿勢に批判
中道改革連合を離党した立憲系議員でつくる「民主改革の会」の有田芳生衆院議員も、高市氏の演説について「またまた綱紀粛正だと言っている」と批判。沖縄の女性たちは「綱紀粛正なんて聞き飽きた」と訴えていると強調した。
沖縄県の古謝玄太知事の取材対応の姿勢にも言及。「新しい知事がへらへらと語っていた」と批判した。古謝氏の抗議に対して在沖米軍トップから直接の謝罪がなかったことを引き合いに、米軍にとって「沖縄の人たちは『人間じゃない』んです」とした。
古謝氏は記者団に対して、米軍側から
「被疑者が否認しているということで、そこが確定していないなかでは謝罪は出来ない」
などと説明されたことを明らかにしている。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)