また農水相...簗和生氏の問題発言で思い出す過去の大臣のトラブル 昨年は「コメ買ったことない」発言が批判

   第2次高市改造内閣で初入閣を果たした簗和生農水相に対する批判が続いている。

   発端は、2026年5月24日に開かれた自民党員らとの懇親会。簗農水相が、2月の衆議院選挙で自身を支援しなかった栃木・那須烏山市と那珂川町について「令和8年度の道路予算については、大幅にカットをしました」と、利益誘導とも恫喝ともとれる発言をしていたことがわかったのである。

  • 簗和生農水相(画像は本人のインスタグラムより)
    簗和生農水相(画像は本人のインスタグラムより)
  • 2007年、就任から2か月で農水相を辞任した赤城徳彦氏(写真:AFLO)
    2007年、就任から2か月で農水相を辞任した赤城徳彦氏(写真:AFLO)
  • 簗和生農水相(画像は本人のインスタグラムより)
  • 2007年、就任から2か月で農水相を辞任した赤城徳彦氏(写真:AFLO)

農水相が「鬼門」とされた時期

   振り返ると、農水相がスキャンダルによって立て続けに交代したことで「鬼門」と呼ばれた時期があった。

   それは2007年のこと。まず、松岡利勝氏が議員会館事務所で多額の光熱水費を計上していた問題を国会で追及され、「ナントカ還元水」と答弁して波紋を呼ぶ。

   松岡氏の急逝によって後任となった赤城徳彦氏も実家の架空事務所費問題が浮上し、2か月で辞任。顔にガーゼとばんそうこうを貼った状態で会見に答えたことから「ばんそうこう大臣」とも言われた。

   その後任となった遠藤武彦氏も、自身が組合長を務める団体の補助金不正受給問題で、就任わずか8日で辞任したのである。

   近年だと2021年には、かつて農水相を務めた吉川貴盛氏が、在任中に鶏卵生産大手の元代表から計500万円を受け取ったとして、収賄罪で有罪判決を受けている。

農水族議員は巨大な権力を失っていった

   農林水産行政においてスキャンダルが目立つ背景に、かつて農水族(農林族)が自民党内で強大な権力を誇ってきたことが挙げられる。

   1955年の保守合同以降、自民党の農水族は農林水産省、そして農協(JA)・土地改良区による、強固な相互依存関係を築き上げた。

   業界団体は選挙で強大な組織票と政治資金を族議員に提供。族議員はその見返りに農水省へ圧力をかけて、手厚い予算や補助金を獲得し、米価を支えたり、国内市場の保護を推し進めたりしてきた。

   このような族議員から、農水相が選出されることが通例となっていったのである。

   しかし2000年代以降、この関係は揺らぎだす。

   農家の高齢化、離農が進み、農協の集票力が減った。加えて小選挙区制が定着し、都市部の無党派層の動向が選挙を左右するようになって、特定の生産者団体を厚遇する政治家の手法が反発を招きやすくなったのだ。

   また、第2次安倍政権以降に加速した官邸主導型の体制によって、農林族が反対してきたTPP(環太平洋経済連携協定)交渉妥結やJA全中の指導権廃止などがトップダウンで断行されるようになった。

   それ以降、生粋の農水族ではない議員が農水相に抜擢されることも多くなる。

   そんななか、3代前の農水相・江藤拓氏、前大臣の鈴木憲和氏は農水族議員である。

   しかし江藤氏は米価の高騰と品薄が顕在化するなかで、

「私はコメを買ったことはありません。支援者の方がたくさんコメをくださるので、まさに売るほどあります」

と発言。鈴木氏は「おこめ券」配布を推奨したことがJAへの利益誘導ではないかと、批判を浴びている。

「私の大事なヤナちゃん」は農水相に適任か

   その跡を継いだ簗農水相は2012年、衆議院議員に初当選。その後、旧安倍派に所属し、現在まで当選6回の中堅議員だ。

   当選5~6回の入閣適齢期である簗氏を、農水相に抜擢したのは、先の衆議院選挙の応援で、

「私の大事なヤナちゃん。私の知恵袋のヤナちゃん」

と応援した高市首相だ。

   だが簗農水相は、2023年末に発覚した政治資金パーティー券をめぐる裏金問題で、1746万円の不記載が判明したり、過去には性的少数者に対する差別的な発言が物議を醸したりと、何かとお騒がせの人物だった。

   今回の道路予算をめぐる発言について、簗農水相は撤回と謝罪に追い込まれたが、その後も与党内からも厳しい声が上がった。

   10月8日になって、高市首相は衆院本会議の代表質問で答弁を行った。

   答弁では、「もとより大臣の任命責任は私にありますが、政治家の発言については、まず本人が適切に説明をするということが重要」とはしたものの、

「とにかく『働いて仕事で返せ』と言っております」

と簗農水相を続投させる意向を示している。

   日本の農林水産行政が大きな課題に直面する今、果たしてこの判断が正しかったのかどうか、今後の動向が注目される。

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