セブンイレブンからの客離れが止まらない ローソン、ファミマ最高益の裏で「ひとり負け」巻き返しの切り札は

   コンビニ大手3社の2026年8月中間決算が出そろい、明暗がくっきりと分かれた。ローソンとファミリーマートが中間期として過去最高益を記録した一方、業界最大手のセブンイレブンは国内事業で減益となった。

   セブンは長年、圧倒的な商品力と店舗網で業界をリードしてきたが、近年は客数の減少が続き、かつての勢いを失っている。なぜコンビニの絶対王者は「ひとり負け」状態から抜け出せないのか。一方で、今回の決算からは巻き返しの可能性も見えてきた。

  • セブンイレブンの「反転攻勢」なるか
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  • ローソンは業績好調
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セブン‐イレブン・ジャパン単体で営業利益9.3%減

   セブン&アイ・ホールディングスが26年10月8日に発表した27年2月期中間決算(26年3~8月)は、売上高に当たる営業収益が前年同期比2.8%減の5兆4602億円、営業利益が11.5%増の2322億円だった。

   ただし、減収は傘下企業の売却などによる影響が大きく、一方で増益をけん引したのは海外コンビニ事業だ。北米でのガソリン販売による利益拡大などが寄与し、海外事業の営業利益は87.7%増の1504億円に達した。

   これに対し、国内コンビニ事業は営業収益が1.0%増の4673億円だったものの、営業利益は9.8%減の1098億円。主力のセブン‐イレブン・ジャパン単体でも営業利益は9.3%減の1102億円となった。

   ライバルは対照的だ。ローソンは中間期の連結事業利益が7.6%増の660億円、ファミリーマートは5.6%増の651億円となり、そろって過去最高を更新した。両社の好調の背景には、物価高と消費者の節約志向を意識した商品戦略がある。

   ローソンは人工知能(AI)を活用した発注システムで品ぞろえを改善し、お得な増量キャンペーンなども好評。1店舗当たりの平均日販は過去最高の60万8000円に達した。ファミマも「45%増量作戦」や「生活応援割」などのお得感を打ち出した企画を積極的に展開し、新型コーヒーマシンの導入で「ファミマカフェ」の販売が好調だったことも利益を押し上げた。

   消費者の財布のひもが固くなる中、両社は価格的なお得感や「この商品があるから行きたい」と思わせる品ぞろえにより、利益を伸ばした格好だ。

   セブンの1店舗当たりの平均日販は約71万円と、依然としてライバルを大きく上回っている。だが、この状況が続けば「コンビニ業界の絶対王者」の座は大きく揺らぐ。

「高い・少ない」イメージの壁

   セブンにとって深刻なのは、客数の減少に歯止めがかからないことだ。

   既存店の客数は今年5月に前年同月比0.8%増と一時的に持ち直したが、6月は3.5%減、7月は2.2%減、8月は1.9%減。さらに、直近の9月は4.1%減となっている。

   客離れの背景として考えられるのが、ネット上で根強く残る「高い」「量が少ない」というイメージだ。弁当などの「上げ底」容器や、価格をほぼ変えずに内容量が減っている「サイレント値上げ」などへの批判が繰り返されたことで、価格に見合った満足感を得られないのではという印象が広まった。生活費が上昇する中、コスパを優先する人が増えれば、そうしたイメージは来店をためらう理由になりかねない。

   また、ローソンやファミリーマートと比べて「これがあるからセブンに行く」と思わせる商品やキャンペーンの訴求力が弱いことも、客離れの一因とみられる。

   ただし、セブンの減益をすべて客離れのせいにするのは早計だ。今回の決算では、次世代店舗システムの導入などに伴う費用増加も利益を圧迫した。また、夏季の天候不順で飲料やアイス類の販売が伸び悩んだ影響もある。

   会社側によると、システム関連費用の増加影響は第4四半期に一巡する見通しだ。こうした負担が落ち着けば、利益が改善する余地はある。

低価格商品の拡充と「できたて」で巻き返せるか

   セブンも手をこまねいているわけではない。反転攻勢の柱となるのが、低価格商品の充実と、店内で提供する「できたて商品」の強化だ。

   セブンは物価高対策として、セブン&アイの低価格プライベートブランド「セブン・ザ・プライス」の取り扱いを全国の店舗で拡大。同ブランドはイトーヨーカドーなどの食品スーパーを中心に展開され、セブンでも一部店舗で取り扱ってきた。今秋からラインアップを拡充し、全国で27品目を展開する。

   500グラム入りのポテトサラダが税抜き398円、900ミリリットル飲料「果実の味わいアップル」が税抜き118円など、日常的に購入する商品を手頃な価格で提供する。「高い」「少ない」というイメージの払拭につながるかが注目される。

   さらに、レジ横などで販売する「できたて商品」の好調ぶりも明るい材料だ。

   セブン&アイによると、上期はカウンター商品の販売が既存店売上高の伸び率を0.9ポイント押し上げた。いれたての紅茶を楽しめる「セブンカフェ ティー」や、焼きたてのパンを提供する「セブンカフェ ベーカリー」の導入も進み、いずれもネット上の消費者から「想像以上においしい」「もっと広まるべき」などと高評価を得ている。

   かつてセブンは、2013年に発売を開始した「セブンカフェ」を大ヒットさせ、コンビニコーヒーを浸透させた実績がある。新たなヒット商品を生み出す開発力がよみがえれば、悪い流れを断ち切ることは十分に可能だろう。

   低価格商品の投入によってお得感を取り戻し、できたて商品などで「だからセブンに行きたい」と客に思わせることができるか。コスト負担の軽減に加え、客離れに歯止めをかけることが、絶対王者の復活に向けた最大の課題となりそうだ。

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