「政策的な議論が闊達(かったつ)に交わされた結果としての有権者の皆様のご判断だと受け止めています」
斎藤元彦兵庫県知事は、2026年10月25日に行われた兵庫県議補欠選挙(高砂市選挙区)で、斎藤県政で副知事を務めた片山安孝氏が落選したことに対し、10月28日の定例記者会見でこのように答えた。
この日の会見では、記者の質問中にもかかわらず、斎藤知事が会場を後にする場面も見られた。
「県政に対する評価が二分」との指摘に
片山氏は、文書問題で混乱を招いたなどとして、24年7月に辞職。副知事を辞職する意向を示した際、報道陣に対して、「知事を支えられなかったことに自責の念がある」と涙ぐんだ様子が当時、話題となった。
この日の定例会見では、記者と知事の間でこのような問答があった。
記者「斎藤県政の全面的支援や告発文書問題で県の対応は適切だ、と訴えていた片山氏が落選した。斎藤県政に対する有権者の評価という観点から、政治家としてどのように受け止めるか」
斎藤知事「あくまでそれぞれ新人の皆様が県政に対するどのような政策をしていくべきか、ご自身のスタンスや方向性などについて、有権者の皆様に訴え、その結果、有権者が投票された。政策的な議論が闊達に交わされた結果としての有権者の皆様のご判断だと受け止めています」
また、神戸新聞の記者は、同社が行った出口調査の結果で、923人の中で斎藤知事の県政運営について「評価する」が45%、「評価しない」が40%(いずれも「どちらかといえば」も含む)と説明。同記者が「県政に対する評価が二分化される結果になったが、数字についての受け止めは」と質問した。
知事は、
「県政運営に関しては、政策立案の実現に向けて、日々取り組みをさせていただいている。県政に対する賛意が示される方もいれば、ご批判される方もいらっしゃる。県民それぞれの受け止めではございますので、真摯に受け止めていきたいと思う」
と述べた。
記者はまた、投票先別に知事への評価をみると、今回当選した島津明香氏に投票した人の64%が「評価しない」、片山氏に投票した人の86%が「評価する」と回答した(いずれも「どちらかといえば」を含む)と説明。県政運営への評価が投票行動に影響したと思うか尋ねた。
斎藤知事は、
「今回は高砂の補選ということで、さまざまな施策について論戦が交わされて、有権者の皆様にどう判断されるのかということだと思う。さまざまな分析はあると思いますけど、私自身は、各候補者が選挙戦を通じ、政策や考えを有権者に伝えていただいて、それが結果的に投票行動を通じて判断されたという結果だと思う」
と述べた。
「正義の告発ではなく、反斎藤派と斎藤派の権力闘争」と片山氏
斎藤県政への支持を訴えた片山氏は、選挙期間中に文書問題について言及した。
10月18日の決起集会では、
「兵庫県の文書問題の真相は何か。あれは正義の告発などではなく井戸派、反斎藤派と斎藤派の権力闘争です」
と訴えた。10月20日に出演したインターネット番組「ReHacQ」では、
「極端な反対派の方が言われることについて、根拠があるのかどうか、冷静に通常の方がご判断をいただければ」
と話した。司会者が「極端な反対派がどんな主張をしているのか」と問うと、片山氏は、
「知事と私を人殺しという人がいるが全く理解できない」
「知事は、『あれは公益通報ではない』と。私は、『それは不正な目的があった。それが公用パソコンの中にある』と主張しております。知事は、文書は真実相当性がないという風に主張している」
「従って、公益通報者保護法違反について、第三者委員会は法的に決定する権限は何もない。法的に何も確定していない。また、国も法的に兵庫県の対応を法的に違反だと認定する権限、権能はありません」
「知事は、第三者委員会は不適切で納得ができないと。私も全くその通りだ」
このように述べた。
NHK神戸放送局では、補選での街頭演説への抗議について、次のように報じた。2026年10月26日放送の「リブラブひょうご」では、片山氏の主張を伝える中で、「告発者潰しの実行犯」などと抗議する人の声が入り、「演説会場では異様な雰囲気に包まれていました」とナレーションで伝えた。
斎藤知事「1時間過ぎておりますので」記者「勝手に仕切らないで」
インターネット番組での片山氏の発言について、定例記者会見で記者から見解を問われると、斎藤知事は「私はその発言を聞いていないのでコメントのしようがないですね」と答えた。記者が食い下がるも、
「1時間過ぎておりますので」
と質問をまとめるように求め、記者は「勝手に仕切らないでください」と知事の態度を批判した。
また記者から、「斎藤知事が第三者委員会に納得できないと発言しているという誤情報が広がってしまうと思うんですけど、それを放置していいんですか」と問われると、知事は「個人がさまざまな場面で発言し、承知していませんので、コメントする立場にございません」と同様の答えを繰り返すにとどまった。
会見では、開始から70分以上が経過し、知事が会見時間のめどとする1時間を超えていた。その中で、知事が記者の質問途中に言葉を被せて、質問を遮る行為について、記者とやりとりが続いていたが、知事は、
「ご質問については適宜適切に対応させていただいております。これで終わらせていただきます。はい、お疲れ様でした」
と述べて、記者の質問を振り切り、自ら扉を開けて、会場を後にした。
記者との厳しいやりとりが続く兵庫県知事の定例記者会見。斎藤知事の再選からまもなく2年となるが、兵庫県の県政、政治状況が落ち着く見通しは全く立っていない。