北九州のソウルフードから全国区の人気チェーンへと成長した「資さんうどん」。首都圏への本格進出に伴ってテレビ番組などで特集が相次ぎ、新店舗には長蛇の列ができるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せてきた。ところが、ここにきて「味が変わった」「新メニューが迷走している」といった批判的な報道が相次いでいる。さらに、わずか7か月での社長交代など、ネガティブな話題も重なった。快進撃を続けてきた「資さんうどん」の戦略に、ほころびが生じ始めているのだろうか。「味が変わった」の声に会社側は異例の説明1976年に福岡県北九州市で創業した資さんうどんは、名物の「肉ごぼ天うどん」や「ぼた餅」などで知られる人気チェーンだ。2024年10月に外食大手すかいらーくホールディングスの完全子会社となり、同年12月には千葉県に関東1号店を開業。その後も店舗網を広げて全国区となり、26年6月には台湾進出も果たした。関東に本格進出した当初は、各局の情報番組で盛んに取り上げられ、26年1月にTBS系『坂上&指原のつぶれない店』が新店舗の開店に密着するなど、テレビでも引っ張りだこだった。しかし、好評一色だった状況に変化が起きている。「週刊女性PRIME」(主婦と生活社)は26年10月23日、長年のファンから「味が変わった」との指摘が出ていることを取り上げ、短期間での社長交代との関連にも言及。さらに同27日には、関東・関西の25店舗限定で発売された「ナポリタンうどん」に対し、ネット上で「迷走しすぎ」などと批判が寄せられていると報じた。規模拡大に伴って「味が落ちる」というのは、飲食業界ではよくある話だ。ただ、資さんうどんの味の変化については別の見方もある。資さんうどんは26年2月24日、公式Xで出汁(だし)について異例の説明を行っている。出汁は各店舗で毎日何度も手作りしており、経営陣が変わっても製法を変更する方針はないと明言。原材料や調味料の取引先も変えていないと断言した。一方で、地域ごとに水の硬度が異なるため、出汁の味わいに「ぶれ」が生じることを認め、麺のゆで時間なども調整していると説明した。つまり、全国展開によって一律に品質が落ちたとは限らず、出店地域の水の違いが味に影響している可能性もある。同社は数値分析などで味のばらつきを抑え、北九州の味に近づける取り組みを進めているという。もっとも、そうした事情があるにせよ、店舗によって味が異なることは利用者の不満につながりかねない。地域密着型の人気店から全国チェーンへと成長したことで、新たな課題が浮かび上がったとも言える。2025年12月期の当期純損失は約3億9300万円もう一つ、ファンを不安にさせたのが経営トップの短期間での交代だ。すかいらーく出身の崎田晴義氏が26年4月に社長に就任したばかりだったが、26年11月1日付で会長に退き、資さんうどんで店舗運営などを経験してきた伊藤英記氏が後任となる。ネット上には、味の変化への批判が人事に影響したのではないかと推測する声もある。しかし、崎田氏は資さんうどんの会長に就くとともに、26年11月16日付で、すかいらーくグループの主力事業会社「すかいらーくレストランツ」の社長に就任する予定。グループ内でも重要なポストであり、批判の責任を取らされて「更迭された」という見方には無理がある。一方、数字面を見ると不安がないわけではない。運営会社「株式会社資さん」の決算公告によると、25年12月期の当期純損失は約3億9300万円だった。また、すかいらーくHDは25年5月、資さんうどんを26年に50店舗、27年以降は年間100店舗ペースで出店する構想を示していたが、その後、26年の国内出店計画を30店舗、27年以降は年間50店以上へと縮小している。赤字決算に加えて出店計画の見直しとなると、経営不振が頭をよぎる。ただし、26年2月13日付の「流通ニュース」によると、25年の売上高は前年比約50%増。国内店舗数も買収時の74店舗から26年10月8日時点で122店舗に拡大している。赤字の背景には、積極出店に伴う費用負担の増加などがあるとも考えられ、現状では経営不振とは判断できない。ただ、急拡大と収益確保をどう両立していくのかは、今後の課題といえそうだ。全国展開によって知名度とファンを増やした一方、以前なら目立たなかった味の違いや経営判断にも厳しい目が向けられるようになった資さんうどん。勢いは今も続いているが、戦略に少々ほころびが出てきたようにも見える。今後、北九州で長年愛されてきた味と品質を守りながら、どう成長を続けていくのか注目だ。
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