「ココイチ」は高くなりすぎたのか 深夜料金導入後に客数7%減、定番カレーはトッピング2品で1300円超え

   カレー専門チェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」(以下、ココイチ)を運営する壱番屋が発表した2026年9月の月次情報で、既存店の客数が前年同月比7.0%減と大きく下がった。相次ぐ値上げに加え、26年9月1日から深夜料金を導入したこともあり、大幅な客離れを懸念する声が上がっている。

   外食チェーンの中でも「値上げに強い」とされてきたココイチ。しかし、客単価が1200円台に達したといわれる中、その強気の価格戦略が限界に近づいているようにも見える。

  • 「値上げに強い」とされてきた「カレーハウスCoCo壱番屋」だが
    「値上げに強い」とされてきた「カレーハウスCoCo壱番屋」だが
  • カレーをメニューに加えている牛丼チェーン「すき家」
    カレーをメニューに加えている牛丼チェーン「すき家」
  • 「値上げに強い」とされてきた「カレーハウスCoCo壱番屋」だが
  • カレーをメニューに加えている牛丼チェーン「すき家」

既存店客数が2期連続で前年を下回る

   ココイチは26年9月1日から、夜22時~翌朝5時の注文に対して7%の深夜料金を導入した。店内飲食だけでなく、持ち帰りも対象となる。

   同時に44種類のトッピングのうち12種類を平均17%値上げ。例えば、人気の「パリパリチキン」は税込み348円から396円になった。原材料や物流費、人件費などの上昇を理由としている。

   深夜料金導入後の26年10月に発表された9月の既存店実績は、客数が前年同月比7.0%減、客単価が6.1%増、売上高が1.4%減だった。単価を引き上げても客数の落ち込み分を補えず、売り上げが前年割れとなった。

   9月は台風や大雨などの天候不順も影響したとされるが、以前から続く客数の減少傾向を考えると、先行きへの不安を招きかねない数字だ。

   ココイチの既存店客数は、24年8月まではおおむね好調だったが、同年9月以降は減少傾向に転じた。25年2月期は前期比1.5%減、26年2月期は同3.5%減と、2期連続で前年を下回っている。26年3~8月の客数は前年同期とほぼ同水準まで持ち直していたものの、9月に再び大きく落ち込んだ。

値上げを重ねても増収を続けたココイチに変化

   客離れの背景として考えられるのが、度重なる値上げだ。

   ココイチは22年6月、同年12月、24年8月などに価格改定を実施。定番のポークカレー(ライス300グラム)は、東京などの大都市圏の店舗で2022年6月以前の514円から547円、591円と段階的に上昇。2024年8月には地域別価格を廃止し、全国646円に統一した。このとき、トッピングも45種類を平均13.5%値上げした。

   一方、壱番屋の業績は好調だった。コロナ禍で2021年2月期に442億円まで落ち込んだ連結売上高は、その後V字回復し、2026年2月期には655億円に達した。これが、ココイチが「値上げに強い」とされる理由だ。

   業績好調の大きな要因となったのが、値上げによる客単価の上昇だ。ココイチは複数のトッピングを追加する客が多い。例えば、定番のポークカレーの価格は現在646円だが、これにロースカツとチーズを追加すると1319円となる。

   24年8月の値上げは影響が大きく、それを境に客数の減少が目立つようになったが、客単価の上昇でしのいでいた。しかし、26年9月の深夜料金導入とトッピング値上げからの客数大幅減により、値上げ路線が「限界」を迎えてしまったようにも見える。

客単価1200円以上で深夜料金も...ライバル店への流出も懸念

   深夜料金は牛丼チェーンのすき家や松屋なども導入しており、珍しい制度ではない。ただ、もともとの単価が低い店と、高価格帯に近づいたココイチでは、利用者の負担感が異なる。

   複数の報道によると、ココイチの現在の平均客単価は1200円台に達しており、これに深夜料金が加わると1300円前後になり割高感が強まる。夜間に利用していた客の足が遠のいても不思議ではない。

   ココイチのカレーは、幅広い層になじみやすい味が特徴だ。しかし、1200円以上を出すのであれば、カレー好きならより個性的なスパイスカレー専門店を選ぶという人もいるだろう。手頃な価格でカレーを食べたいライト層は、並盛で550円のカレーや830円の牛カレーを提供するすき家なども選択肢となる。もし値上げ路線が「限界」に達したとなれば、他店への客の流出が懸念される。

   原材料費などの高騰は重くのしかかっており、壱番屋の26年2月期は増収ながら営業利益が前期比4.3%減少。26年3~8月期も売上高が前年同期比10.0%増となった一方、営業利益は17.2%減だった。利益確保のために値下げは難しい。しかし、客数の動向を見る限り、値上げ路線にも限界がありそうで身動きがとりにくい。

   価格を上げても支持されるというココイチの強みが、岐路に立たされている。今後は「この値段でも食べたい」と客に思わせる満足感の向上が重要な課題になるのではないか。

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