居場所特定や「デジタル誘拐」リスクも...学校行事のSNS投稿、ルール整備もトラブル続出 専門家警鐘「認識アップデートを」

   2026年10月下旬、子どもの運動会の写真をSNSに投稿したことで、別の子どもの居場所が特定されトラブルになったというエピソードがXで拡散され、議論を呼んだ。運動会や発表会などの学校行事では、写真に写り込んだ子どもの顔や名札、学校施設などから個人が特定される可能性もあるという。保護者によるSNS投稿のリスクや、学校に求められるルール整備について専門家に聞いた。

  • 学校による行事の撮影・SNSルールの整備が進んでいる(画像はイメージ)
    学校による行事の撮影・SNSルールの整備が進んでいる(画像はイメージ)
  • 後ろ姿やモザイクなど子や他人の顔が映らないようにする配慮が求められる(画像はイメージ)
    後ろ姿やモザイクなど子や他人の顔が映らないようにする配慮が求められる(画像はイメージ)
  • 学校による行事の撮影・SNSルールの整備が進んでいる(画像はイメージ)
  • 後ろ姿やモザイクなど子や他人の顔が映らないようにする配慮が求められる(画像はイメージ)

「自身は平気」の考えからSNS投稿しトラブルに

   きっかけとなったのは、親族から居場所を知られないようにしていた子どもが、別の保護者がSNSに投稿した運動会の写真に写り込んでいたことで見つかってしまい、トラブルになったというエピソードだ。Xでは、「本当にやめてほしい」「他の子どもが写っている写真は投稿すべきではない」といった声が相次いだ。

   ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子氏はJ-CASTニュースの取材に、学校行事は複数人の子が写り込みやすく、行事の日付や写った校舎・グラウンドから学校が、ゼッケンや名札から本人の名前が特定できる場合もあり、トラブルになりやすいと指摘した。

   SNSに投稿された写真に写り込んだ子に起こり得るリスクについて、第三者があたかも自分の子であるかのように投稿する「デジタル誘拐」や、児童ポルノサイトへの転用、ストーカーや誘拐につながるリスクなどが考えられるという。

   高橋氏は、こうしたリスクを懸念している家庭では個人情報をSNS等に出さないことを徹底している一方、「自分や自分の子はSNSで公開されても平気だから、他の子のことも公開してしまうというスタンスで、今まで問題なかったので何が悪いのかわからない」という考えの人も一定数いると指摘。こうした個人情報やプライバシーに関する考え方の違いで、トラブルになることも多いとした。

   高橋氏は、「ご自分自身のことに関しては、自分の責任の範囲で好きなことを投稿していいと思いますが、他人に関しては相手に影響やデメリットを及ぼす可能性があるので、くれぐれも細かな配慮が必要です」と警鐘を鳴らす。

「ある程度大きくなったら別の人格」...SNS投稿時の心構え

   一方で高橋氏は、自身の子に関するSNSへの投稿について、一律に否定しているわけではないと話す。例えば子が小さいころにワンオペ育児をしなければならない環境などでは、SNSのつながりが救いになるケースもあり、理解を示した。

   一方、「ある程度大きくなったら別の人格」と考えることが重要という。親がSNSに投稿することで、インターネット上に顔や名前が出ていると、「『自分の情報をネット上に公開しない』ということを決めることができなくなってしまう。本来、その選択権は自分(子ども)にあるはずです」と指摘する。

   SNSに投稿する場合は、本人の同意があり、かつ子が活躍している場面など将来的に恥ずかしくない、被害を受けづらい場面を投稿することを推奨する。遅くとも未就学児の時期を過ぎたらモザイクや後ろ姿のみを投稿し顔を隠す、本名は出さずにネットネームにすることも必要な配慮だとした。

   また、特定を避けるために、公開範囲を友人限定にする、リアルタイム投稿をしない、撮影している場所がわからないようにすることも必要だとした。

   子の友人やクラスメイトに関しては、「最低限でも許諾を得て、公開範囲は友達限定に。そうでなければ、基本的にモザイクやスタンプなどで隠すなどの配慮が必要になると思います」とした。

学校では10年ほど前からルール整備進む

   高橋氏によると、近年では学校イベントにおけるSNS投稿の禁止や撮影の禁止など、ルールを設けている学校も多い。撮影は可能だがSNS投稿を禁じている学校の中には、「万が一発見したら、今後撮影自体を禁じますと明言している学校もあります」という。

   高橋氏によると、こうしたルール整備は、SNSの普及、特にインスタグラムの台頭とともにこの10年ほどで進んだという。インスタグラムなどの流行により「自撮りなどが当たり前になったことでSNSに顔を載せる抵抗感が減り、代わりにトラブルが増えた」とみている。

   このようにルール整備が進んでもトラブルが絶えない理由について、高橋氏は次のように分析している。

「子どもは基本的にみんなかわいいですから、『みんなにかわいいと言ってもらいたい』という思いは当然あると思います。リアクションやコメントが多くもらえるので、それが楽しくて習慣化してしまい、やめ時を見失って子どもの個人情報を垂れ流したり、ご友人の情報まで出してしまったりということにつながるのだと思います」

   高橋氏は、子どもとの思い出を残したいという気持ちには理解を示しつつ、次のように呼びかけた。

「自分自身であれば自撮りをしてもトラブルにならなかったのかもしれないですが、子ども、ましてや他人の子どもであればトラブルに確実に直結します。何かあったときに責任が取れないですよね。基本的にそこは一切投稿しないというのを心がけていただくというのが現代の親の最新ルール、マナーです。保護者の方は、子どもを守る立場であると自覚し、認識をアップデートしていっていただきたいです」

   また、学校に対しては、年度初めからルールを明言することを勧める。

「年度途中でプリントなどを配っても読まない方もいらっしゃいます。全員がいるような入学式や保護者会で、ルールとそれを破ったら自分たちにデメリットがある――例えば子どもの撮影ができなくなるなど――と説明する。すると、すごく大きなデメリットだし、他の方にもすごく迷惑かかりますよね。それだったらやめようとなりやすいので、早めに言っていただくとよいと思います」
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