2024年 4月 26日 (金)

1割がマスクなしで人前に出られない 「人見知り」ではなかった社交不安障害

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【あさイチ】(NHK)2016年3月2日放送
「侮れない! 大人の人見知り」

   春は出会いの季節。しかし、「知らない人の前で話すのは苦手」「人の輪に入っていけない」と悩む人が多い。番組が行なったアンケートでは、実に64%の人が「自分は人見知りだ」と答えた。リポーターの西堀裕美アナがこう語る。

「でも、これが度を越して日常生活に支障がでるようだと、単なる性格の問題ではなくて、『社交不安障害』(SAD)というれっきとした病気なんです」
  • 見つめられるのに堪えられない
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「目元のけいれんが止まりません」

   番組の冒頭、社交不安障害の女性患者Yさんが登場。Yさんは中学2年の時、国語の授業の朗読でつまずいた。緊張でのどがつまり声が出なくなった。大人になってからも人前で緊張することが続いた。子どもが保育園に通い始めると、さらに深刻に。ママ友たちと話すと動悸が激しくなり会話ができない。目元がけいれんして口が震えるので、いつもマスクで顔を隠す。

Yさん「相手の顔も見られないんです。自分はダメな劣等感の塊だと......」

   番組ゲストは、ともに「人見知り」を自認するお笑い芸人・黒沢かずこと益子卓郎。「どうですか?」とMCの井ノ原快彦が2人に水を向ける。

黒沢「Yさんの『目元のけいれんが止まりません』という言葉、私とまったく同じ。うれしくなりました。私、高校入学式の日、知らない人ばかりだったので、教室から体育館まで壁をずっと触って移動しました。何かに触ってないと安心できなかったので」(スタジオ内爆笑)
井ノ原「(芸人として)人前で普通に喋っているじゃないですか?」
益子「冷たいですね、その言い方。僕も栃木から東京に出てきた時、バイト先では何も喋れなかったです。そこで、僕についたあだ名が『ニヒル』。ちっともクールじゃないのに」(スタジオ内大爆笑)

子どもだと不登校、大人だと引きこもりに

   西堀アナ「ここで社交不安障害(SAD)かどうか、自分で簡単にできるチェック法を紹介します。4つすべてに該当すると病気の疑いがあります」

   (1)人前で質問に答えたり、発言したりするなど、人から注目されるのが怖い。

   (2)宴会や会議室など、ほかの人がすでに座っている場所に行くのが怖い。

   (3)他人から否定的に評価されるのが怖い。

   (4)これらの怖さが度を越していて、つらい状況が半年間以上続く。

   スタジオでレギュラー、ゲストがチェックすると、全部に「はい」と答えた人はいなかったが、何人かが(1)(2)(3)に「はい」と回答、全部に「いいえ」と答えた人はMCの有働由美子アナただ1人だった。

   ここで、精神科医の清水栄司・千葉大学大学院教授が登場し、こう説明した。

清水教授「私も(1)(2)(3)は『はい』です。不安は誰にでもありますが、それが長く続くのは病気になります。外に出られなくなるのが子どもの場合だと不登校、大人の場合だと引きこもりになります。たとえば電話でも、ほかの人の前でかけるのが怖い。オフィスではほかに人がいるので、かかってきても取らない。後で1人になった時に携帯からかけ直します」
MCの柳澤秀夫「人間嫌いの人っていますね。自然と向き合いたいとか、動物の方が好きだとか」
清水教授「それとは違います。人とかかわりたい、付き合いたいという気持ちがあるのにできないのです」
MCの有働由美子アナ「患者さんは、どのくらいの割合でいるんですか?」
清水教授「米国のデータでは全人口の10%です。私の感触では日本も同じくらいでしょう」

   なぜ、社交不安障害の人は、人前で話せないのか。西堀アナが清水教授の研究室でこんな実験をした。「怒り」「恐れ」「笑顔」「普通」という4種類の表情の顔写真を次々と見て、脳の反応を画像で調べるのだ。西堀アナは「怒り」の表情を見た時だけ脳の扁桃体という部分がすぐ反応し、赤くなった。ここは不安や恐怖を引き起こす組織で、危険を察知したわけだから健康な反応だ。

「笑顔」の顔写真にも脳が恐怖の反応

   ところが、社交不安障害の人で実験すると、「笑顔」を含め、全部の表情に扁桃体が赤く反応した。どんな表情に対しても恐怖を感じるのである。

MCの井ノ原「これは大変だなあ。人といる時、安らぐことがないんですね」
清水教授「しかし、目の前に社交不安障害の人がいても、みなさんが気づくことはないでしょう。患者さんは、手の震えをもう1つの手で必死に押さえて隠そうとします。マスクで自分の顔を隠すのも防御方法です」
出演者一同「(大いにうなずき)ああ、なるほど。最近、多いですものね」
有働「克服する方法はあるのですか?」
清水教授が、「自宅でもできる行動療法」として紹介した1つが、ビデオで自分の日常の姿を撮影して見る「ビデオフィードバック」だ。ビデオで見直すと、自分が思い込んでいるほど変わった人間ではないことがわかる。自分を客観的に見ることで、劣等感がだんだん消えていくという。

   もう1つが、家族や親しい人と正面から向き合い、相手の顔を真っ直ぐ見つめる方法。有働アナと、人見知りが激しいという黒沢かずこが向かい合った。

清水教授「(黒沢に)どう感じますか?」
黒沢「(モジモジしながら)テレビで見る有働さんに見られているかと......」
清水教授「ダメです。気持ちが自分に向かっています。相手に向けなさい。有働さんはどんな目をしていますか?」
黒沢「(しっかり相手の目を見つめ)あっ、つけまつげがすごいです!」(スタジオ内大爆笑)
有働「黒沢さん、すごい! さっきは目が泳いでいましたが、今はキッと私を見つめて、視線が凝縮された感じ」
清水教授「そこが大事なんです。気持ちが相手に向いてきました。黒沢さん、今日の有働さんの髪型はどうですか?」
黒沢「(じ~と見つめ)意外とボサボサですね」(スタジオ内大爆笑)
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