2024年 4月 26日 (金)

「胎児が危ない」妊婦に梅毒急増中 若い女性に感染率が高い理由は

   梅毒に感染する若者が増え続けるなか、日本産婦人科医会は2016年10月13日、妊婦の梅毒の感染率を調査した結果を発表した。感染率は若い妊婦ほど高く、20代は平均の約2倍、10代は約8倍にも上るという衝撃の内容だ。

   妊婦が感染している場合はほぼ確実に胎児も感染する。産婦人科医会は対策の必要性を訴えるが、なぜ若者の間で梅毒感染率が高くなっているのだろうか。

  • 若い女性に梅毒感染が増えている
    若い女性に梅毒感染が増えている
  • 若い女性に梅毒感染が増えている

梅毒に感染した胎児の40%は死亡する

   日本産婦人科医会の発表資料によると、全国2458の分娩取扱い施設に対し、2015年10月1日から2016年3月31日までの間に分娩した妊婦の梅毒感染率をアンケート調査し、1919施設の30万5652人の妊婦から回答を得た。全体の感染率は4022人に1人だが、年代別にみると20代では2449人に1人、さらに10代では537人に1人と、若い年代で高かった。

   梅毒は性的な接触によってうつる「梅毒トレポネーマ」という病原菌が引き起こす感染症。国立感染症研究所のウェブサイトによると、妊婦が梅毒に感染した場合「ほぼ100%胎児へ伝播する」。さらに「感染した胎児の40%は子宮内死亡または周産期死亡する」。避妊具(コンドーム)の使用が有効な予防とされており、日本産婦人科医会は「若年者の性教育の重要性」を今後の課題に挙げている。

   厚生労働省の統計によると、梅毒感染者数は2010年以降毎年増加し、2010年の621人から2015年は2697人で約4.3倍に。2016年は1~3月の間ですでに796人おり、2015年同期(397人)比で2.0倍増えた。特に20代前半(20~24歳)の女性の増加が目立つ。2010年が18人だったのが、2015年には240人と13倍以上の急増ぶりだ。

   なぜ若者の感染が増えているのか。新宿レディースクリニック副院長の釘島ゆかり医師が小学館のニュースサイト「NEWSポストセブン」(2016年4月26日)の「若い女性の梅毒増加 LINEによる出会いが理由」の中で指摘したのは、恋愛の形の変化だ。スマートフォンの普及により、SNSや通信アプリを通して見知らぬ異性と出会うのが普通になり、セックスの頻度や人数が上がっている推測した。

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