インフルワクチン製造の画期的な技術 より「安く」「効きやすく」の一石二鳥

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   インフルエンザワクチンは製造工程に時間がかかり、流行の拡大に追いつかない場合があることが問題になっている。川崎医科大学(岡山県倉敷市)の研究チームが従来製法より効率的にワクチンを製造できる方法を開発し、米の医学誌「Generation of Virology」(電子版)の2017年1月4日号に発表した。

   製造コストを減らせるばかりか、ワクチンの有効性を高める効果が期待できる画期的な方法として注目されている。

  • インフルワクチンの製造では膨大な量の卵が必要
    インフルワクチンの製造では膨大な量の卵が必要

ウイルスが短時間で変異することが課題だった

   川崎医科大学の発表資料によると、インフルエンザワクチンは一般的に鶏の卵(有精卵)の中にウイルス(ワクチン株)を入れ、何度も分離・精製を繰り返しながらウイルスを増やして製造する。ところが、ウイルスは非常に短い時間で遺伝子が変異するため、卵の中で複数回増やす過程で、ワクチンに向かない性質のウイルスが多数出現することが課題となっている。これが、「ワクチンが効かない」とされる問題やワクチンの製造コストを増加させている大きな理由だ。

   研究チームは、ウイルスが増殖する際に必要な「遺伝子複製酵素」(ウイルスポリメラーゼ)に着目した。この酵素のアミノ酸配列を人為的に改変し、遺伝子変異の発生頻度を2分の1にすることに成功した。この酵素を使ったワクチン株を用いれば、従来の方法よりウイルスの遺伝子変異が半減するため、効率よくワクチンを作ることができるという。

   研究チームは発表資料の中で、「ワクチン製造のためには、特別の施設の中で飼育された鶏が生む膨大な量の卵が必要ですが、今回の方法が実用化されれば、製造コストが減り、ワクチンの価格を抑えることができます。また、ウイルスの遺伝子変異も少なくなりますので、ワクチンの有効性が高まることも期待できます」とコメントしている。

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