2024年 4月 27日 (土)

リプニツカヤ「摂食障害で引退」報道 女性アスリートの体がむしばまれる

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   2014年のソチ冬季五輪でフィギュアスケート団体金メダルに輝いたユリア・リプニツカヤ選手の引退報道が流れた。まだ19歳と若い。ソチ五輪での可憐で美しい演技は、日本でもファンを増やした。

   引退理由として報じられたのが、摂食障害だ。日本でも女性の有名アスリートが、これまでに苦しんだケースがある。

  • 過度なトレーニングが危ない
    過度なトレーニングが危ない
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浅田舞さん、鈴木明子さんも悩まされた

   五輪後はけがの影響もあって、競技の成績が振るわなかったリプニツカヤ選手。引退を巡っては、本人が拒食症の治療を終えてロシアのスケート連盟幹部に伝えたとされるが、リプニツカヤ選手自身の声明はまだ出ておらず、はっきりとしていない。

   厚生労働省では摂食障害について、「食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症、極端に大量に食べてしまう過食症があります」と説明する。拒食症では、やせて生理が来なくなる、過食症の場合は、食べ過ぎたことを後悔して憂うつになるという症状がある。

   日本でもこれまで、摂食障害を明かしている元フィギュアスケーターの女性がいる。浅田舞さん(29)は現役時代、「拒食症になっちゃったり、過食症になっちゃったり、精神的にまいってうつ病みたいになっちゃってました」と「女性セブン」2015年6月11日号で明かしていた。

   2010年バンクーバー、14年ソチと2大会連続で五倫に出場した鈴木明子さん(32)は、拒食症を乗り越えた体験をこれまで詳しく語ってきた。2015年10月16日付の産経新聞記事では、大学進学後、48キロあった体重が一時32キロまで落ちたと明かしている。「フィギュアスケートは体重が重くなると、動きが悪くなり、足への負担も大きくなる。体重管理のため食事制限していたつもりが、だんだん食べられなくなりました」。

   摂食障害と診断された後も、なかなか食事ができずスケートの練習から遠ざかった。それでも母親の献身的なサポートと病院の栄養指導で徐々に回復し、競技に復帰することができたという。

無月経や骨粗しょう症、心臓機能に「致死的結果」...

   日本摂食障害協会はウェブサイトで、「スポーツにおける摂食障害」「アスリート向けガイド」という資料を公開している。英国版を和訳したもので日本は多少事情が違うかもしれないが、競技者だけでなく指導者にとっても参考になりそうだ。それぞれ見てみた。

   摂食障害のリスクが高いスポーツとして挙げられたのが水泳、ランニング競技、体操、ダイビング、シンクロナイズドスイミング、レスリング、柔道、軽量級ボート競技だ。有病率は男性より女性が高いが、男性でもなり得る。

   アスリートの食習慣は一般の人のそれとは違うかもしれないが、パフォーマンス強化が目的で、食事と体重に細かく注意が払われている。だがこの範囲を外れてむやみに食を制限したり、自分で吐こうとしたり、下剤や利尿剤、浣腸、精神刺激剤を使ったりと「有害になり得る体重コントロールの手段」に走ると、摂食障害を本格的に発症する恐れが高まる。

   拒食症では、アスリートの場合は「もしも普通に食べたら、そのスポーツで同じレベルで競技できないかもしれない」と恐れることがある。極端に高い目標を立て、過度に練習し、体重と体型をコントロールしようとする。体重が減り、トレーニング量は増えるのでパフォーマンスは落ちる。すると選手本人は自己嫌悪からますます練習をエスカレートさせる。その結果、女性の場合は月経ストップや骨粗しょう症といった症状が現れるという。

   過食症の場合、本人は自分の外見に決して満足しない。厳しすぎるダイエットを自ら課し、クリアできないと自己嫌悪に陥って「むちゃ食べ」に走る。スポーツのパフォーマンスと結びついた不安もやはり、むちゃな食べ方を引き起こすことがあるという。こうした行為は、自分をコントロールできていないとさらなる嫌悪感を呼ぶ。ダイエットのルールすら守れないのにスポーツで頂点に立つことなどできないと考え、また困難なダイエットに取り組んで何日も断食したり、無理に食べたものを吐きだしたりするようになる。「むちゃ食いと排出行動のサイクル」が始まるのだ。ずっと繰り返すと、「血清カリウムのレベルの低下をひきおこすことがあります。これは、最終的には、心臓の機能に、致死的な結果を招くこともあり得ます」。

   資料では、「摂食障害は精神科領域の重大な病気であり、他のどの精神科領域の病気よりも多くの命を奪っています」として、悩んでいる場合は早く支援を求めるよう呼びかけている。早いほど、治療により全快する可能性が高まるからだ。選手の身近にいるコーチも、ある種のトレーニングが摂食障害を起こすリスクを高めることを知っておく必要があり、選手の問題に気づいたら適切にサポートするよう促している。

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